このシリーズでは、日本に昔から伝わる季節ごとのお祝い、習わしや意味について あらためて振り返ります。今回は、冬の行事とお正月を迎える準備について。

お正月の始まりは12月。念入りな準備で年神さまを待つ

師走に入った1213日は「事始め」(ことはじめ)の日。 なにを始めるかというと、それはお正月の準備。この日にまず「煤払い」(すすはらい)、つまり大掃除が行われます。
日本の神さまがもっとも好むのは「清浄」。新しい年、すなわち年神さまを迎えるにあたって、家中の汚れ・ホコリ・穢れを取り除くことがとても大事とされてきました。

12月も下旬になると、門松、鏡餅などの準備をし、おせち料理を作り始めます。 ちなみに、正月飾りをするのは遅くとも28日までに。29日は「苦の日」、31日は「一夜飾り」といって、避けるべき日とされてきました。

現在、お正月を意識するのはせいぜい三が日だけかもしれませんが、かつてはその準備から松の内までほぼ1カ月間、新しい年の力を授けてくださる「年神さま」と過ごす正月祝いとの意識があったのです。

年末の大掃除。神棚や仏壇のお掃除を。

太陽の力=生命力が最も弱まる「冬至」の過ごし方

1222日頃にあたる「冬至」は、1年でもっとも昼の時間が短い日。古来、この日は太陽の神さまの霊力がもっとも弱まる、つまりあらゆる生命力が弱まる日だと考えられてきました。

逆にいうと、この日を境に太陽の力も生命力も増していくと考えられ、古代において冬至は1年というサイクルの大きな節目の日とされていたのです。
 

今に伝わる冬至の行事といえば「柚子湯に入る」「小豆粥やかぼちゃ料理を食べる」こと。 生命力が弱まる時期に怖いのが風による邪気、つまり風邪。

ビタミン豊富で冬まで保存がきくかぼちゃを食べ、体を温める柚子湯にゆっくりと浸かる。心身ともに滋養の補給です。また、小豆には節分の豆と同じく、邪気を吸う・祓う力があると考えられてきました。

柚子は半分に切ってガーゼの袋に入れて。これを湯船に浮かせば、心も安らぐ柚子湯に

年に2回の「大祓」は見えない穢れを除く、心身の大掃除

年末に行っておきたいのが「大祓(おおはらえ)。大掃除で住まいからすっかり汚れを取り除いたのと同じように、家族みんなの心身の穢れや罪、厄を取り払う行事です。

家の中のゴミやヨゴレと違って、心身の穢れ(けがれ)は目に見えません。ですが、どちらも放っておくと病の元になるもの。これを神さまの力で祓っていただくのです。

神社では12月31日の大晦日と6月末日の年に2回、大祓の神事を行います。 多くの神社の社務所では月の始め頃から人形(ひとがた)を配布します。これに家族それぞれの穢れを移して神社に納め、大祓の神事のときにすっかり祓っていただくためのものです。

 

人形(ひとがた)に名前を書いて、体のあちこちを撫でます。最後に息を吹きかけて。これを初穂料と一緒に神社へ納めます。

 


文/平井かおる(日本の神道文化研究会

イラスト/今井未知 www.michiimai.com

参考文献/『暮らしのしきたりと日本の神様』(日本の神道文化研究会 三橋健+平井かおる/双葉社)


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