家族が揃うお正月、年神さまの前でケンカは禁物。年の初めにケンカをすると、もめ事の多い一年になるのだそう。

おうちに年神さまをお迎えしたら、次は「初詣」。好きな神社・有名な神社に行くだけでなく、自分たちが暮らしている地元で、いつも見守ってくださる氏神さまに忘れずに新年のご挨拶をしましょう。

2020年に発生した世界的な感染症拡大により、今年もまだ、いつもと違うお正月になります。それでも新しい年が始まり、いつもよりもゆっくりした時間の流れで各家に年神様をお迎えする、それも正月本来の過ごし方ともいえるのではないでしょうか。
初詣については各神社・お寺で対策を取られ、年内から「予祝詣」「幸先詣」などのかたちで始まっています。旧暦のお正月(いまの立春・節分)の頃や、長いところでは3月のひな祭りまで初詣ができるところもあります。


1月7日は「人日(じんじつ)の節句」といって、その日の朝「春の七草」が入ったおかゆを食べると、1年を無病息災で過ごせるといわれています。
春の七草とは「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」。今ではめったに見ない珍しいものもありますが、どれも昔は普通に野山に生えていた植物ばかりで、その若菜を摘んでいただくことは春を待つ行事のひとつでした。

寒さが厳しい時期にやってくるお正月のことを冬ではなく「新春」というのも、昔の日本人の春を待ち望む意識の表れといえるでしょう。

遠石八幡宮(山口県周南市)例年の初詣風景

節分~「鬼は~外!」の豆まきで厄や邪気を祓い春を迎える

日本には春・夏・秋・冬の四季があります。それぞれの季節の気配が訪れる日とされるのが立春・立夏・立秋・立冬。「節分」とは季節を分けることを意味し、つまり本来は春夏秋冬それぞれの始まりの前に節分がありました。現在は、立春の前日に節分の行事が残っています。

旧暦が使われていた昔、立春はお正月の始まりとほぼ重なっていました。なので、その前日の節分は大晦日と同様に、1年に溜まった目に見えない穢れや厄、邪気を祓う「豆まき」をします。
古来、豆には悪いものを祓う力があると考えられてきました。家中の窓や扉を開けて元気よく「鬼は~外、福は~内!」と豆をまくのは、子どもの遊びのようにも見えますが、じつは新しい1年をさっぱり気持ちよく迎えるためのお祓いなのです。

今の新暦ではお正月の後の2月に節分が来ますが、本来はこの時期までが健やかな1年を過ごすための下地作りの期間と考えるといいでしょう。

2022年もまだ、いつもとは違うかたちに。それでも多くの神社やお寺で、可能なかたちでの節分のお祭りをそれぞれに予定されています。

節分の豆を撒くだけではなく食べるのは、体の中からも厄や邪気を追い出すため

常陸国出雲大社(茨城県笠間市)例年の節分祭

ひなまつり~人形の始まりは、人の厄災を代わりしてもらう「ひとがた」

ひなまつりは、正しくは「上巳の節句」別名「桃の節句」ともいわれます。「節句」そのものは季節の節目のお祝いを意味し、このほかに5月の「端午の節句」、7月の「七夕の節句」、9月があります。

「お祝い」というと楽しく晴れやかなことを思うかもしれませんが、その背景には、本来つつがなく健やかであることを祈る気持ちがありました。
そのために、いまも伝わる季節のお祝いの行事には、健やかであることを阻む穢れや災いなどを祓うための行いがもれなく含まれています。
ひな人形の起源とは紙で作った人形(ひとがた)のことで、その次に「流しびな」が作られるようになります。どちらも、私たちの心身に溜まった目に見えない穢れを肩代わりしてもらうためのもので、これを川海に流しました。この行事は、いまでも数多くの神社で受け継がれています。

今のような進んだ医療のなかった時代、季節の節目ごとに行事を設けることによって人々はつつがない日々を願い、無事や健康を感謝してきたのです。

「ひな人形は早く片付けないと婚期が遅れる」とう俗説は、人形を川に流していた時代の名残りという説もある

東京大神宮(東京都千代田区)の「雛まつりの祓」人形
 


原文/平井かおる(日本の神道文化研究会)

イラスト/今井未知 www.michiimai.com

参考文献/『暮らしのしきたりと日本の神様』(日本の神道文化研究会 三橋健+平井かおる/双葉社)


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