こんにちは。 写真家の齋藤ジンです。会津に生まれ、会津の人と自然、そして城郭を撮ることをライフワークにしています。
コロナ禍の2020年春に始まった連載フォトコラム「写真家の見る日本の美しい城」。第2回は、夏の城をご紹介したいと思います。

●復興の力強さが感じられる、熊本城
●豊臣家滅亡の悲劇を感じる、大阪城
●美しい佇まいの復興天守、岸和田城
 

復興の力強さが感じられる、熊本城

さて、今回は九州の誇る名城、「熊本城」からスタートしたいと思います。
この7月に火急の要件があり熊本を訪れた際、現在の熊本城の様子が見てみたくなり、訪れることに。
見学ルートを歩いて行くと、ありました!「二様の石垣」からの~、大天守。
変わらぬ美しさと復興の力強さを感じられて嬉しくなりました。ガンバレ熊本!

熊本城は慶長12年(1607年)築城の平山(ひらやま)城で、多数の櫓(やぐら)と大小天守からなる本丸、そして美しい曲線を描く石垣が大きな見どころとなっています。
このあたり、城好きにはたまらないですね。日本トップクラスの名城であることは間違いありません。

(この写真のみ2014年10月撮影)

石垣を見れば、熊本城が鉄壁の守りを自負していたのも肯けますね。
ご存知のとおり熊本地震で甚大な被災となりましたが、築城当時の石垣は、驚くほど損傷が少なかったのだとか。
写真の「宇土櫓」(うとやぐら)は、熊本城が攻防の舞台となった西南戦争でも損傷は少なく、築城当時の佇まいを今も残しています。
いわゆる現存天守※に匹敵する価値ですね。
(※編集部注/「現存天守」とは江戸時代以前に築城、現在も保存され訪れることができる天守のこと。全国に12城あります)
しかも宇土櫓は、その完成度から、初代天守ではないかという見方もあるほど。 言われてみれば、存在感も抜群です。

この熊本城を築いた初代の藩主は、言わずもかな、加藤清正(かとうきよまさ)です。
秀吉の七本槍」と言われ数々の武功をあげた名将です。(ご本人はそう呼ばれるのが嫌いだったとか)
築城とともに、現在の熊本県を中心とした肥後国を治める大大名となりました。
秀吉没後は徳川側へ付き、関ヶ原では東軍として戦いましたね。このあたり何か人っぽいなぁーという生き方で、わかるような気がします。
清正の後は三男の忠弘が家督を継ぎますが、時代の渦(将軍家の跡目争い)に巻き込まれ、忠弘の代でお家断絶。奥州出羽・丸岡での流人生活となってしまうのです。
秀吉に仕えたことで大名に上り詰めながら、藩存続のため徳川に降り、外様大名として生き残る道を選んだ。
それなのに、 わずか二代目でお家取り潰しとは。なんと切ない話かと思ってしまいます。

熊本城をつくった加藤清正、いまは神様となって熊本城と人々を見守っています。
熊本城公園内にあり、清正公をご祭神とする加藤神社の境内から日々復興する天守を眺めることができ、人気があります。
 

豊臣家滅亡の悲劇を感じる、大阪城

加藤清正の主君だった豊臣家の忘れられない夏といえば、慶長20年(1651)「大坂夏の陣」ですね。この年の夏で豊臣は完全に滅亡、徳川家の江戸時代がやってくるのです。
大阪城を見上げるたびに、何か悲劇の物悲しさを感じてしまうのは僕だけでしょうか。

ちなみに、今の大阪城は太閤秀吉が築いた「豊臣大阪城」ではなく、その遺構を埋めて、そこに新しく築かれた「徳川大阪城」なのです(現在の天守は昭和6年再建の復興天守)。
それだけ、秀吉の色をこの世から消したかったということなんでしょうか。

地中深く埋められてしまった豊臣の大阪城ですが、近年の発掘調査で地下石垣が残っていることを発見。豊臣石垣を公開するための施設をつくろうという募金プロジェクトが大阪市によって今も続けられているそうです。
大阪の人々にとって大阪城とは、いまでも太閤さんが一代で築いた「なにわの夢」なのだと思います。

熊本城と同様に大阪城にも、太閤秀吉を神様として祀る豊國神社があり、大阪市民に愛されています。

 

美しい佇まいの復興天守、岸和田城

もう一つ、大阪にある城といえば、「岸和田城」です。

現在の天守は、昭和29年(1954年)再建された復興天守です。
城の歴史自体は古く、楠木正成の一族が築き、秀吉の伯父にあたる小出秀正が改修を行い、かつては五層の天守をもつ大きな城だったそう。
その後、焼失や破壊を繰り返し、明治維新の廃城前につくられた建造物は、堀と石垣以外いまは残っていません。

それでも、佇まいが美しい城ですね。

岸和田城は、大阪城と和歌山城のちょうど中間地点に位置し、きっと何か重要な役目があったのではないかと推測されます。
和歌山城といえば、徳川御三家・紀州徳川の居城でもありますしね。

城下町として栄えた岸和田には歴史ある神社仏閣が多く、勇壮な山車が町を駆け抜ける「岸和田だんじり祭」でも知られます。
だんじり祭だけでなく、今年は全国各地で数多くのお祭が中止や縮小になりましたね。
しかし、神社仏閣や美しい城は常に変わらずそこに在り、訪ねる人々の心の支えになっています。
 

というわけで、今回は「熊本城」と、そこからのつながりで「大阪城」「岸和田城」をご紹介しました。
次回、また別の城郭の写真とストーリーをお届けしたいと思います。ご期待ください。

 


【おすすめ記事】

写真家が見る日本の美しい城(1)会津・鶴ヶ城と桜景色

秩父に来ないと飲めない酒を。名水と自社酵母でつくる武甲酒造の日本酒