はじめまして。写真家の齋藤ジンです。
こちらでは、私の故郷である「会津」とライフワークである「城郭」の写真を、作品として発信していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

第1回は、「会津」の代表的な「城」ということで、「鶴ヶ城」の作品からです。

鶴ヶ城は、会津城、若松城とも呼ばれています。昭和40年(1965年)に復元された、5層5階建の平山(ひらやま)城、つまり平野の丘に建築された城です。
会津といえば新選組や白虎隊の悲劇で歴史ファンには有名ですが、写真家の目から見ると、つくりがとても美しい城です。

 

鶴ヶ城と、満開のソメイヨシノ

鶴ヶ城の敷地内には約1千本もの桜が植えられており、福島県内では桜の名所として大変有名です。

写真は今から7年くらい前に撮影した、満開のソメイヨシノに包まれる鶴ヶ城です。
桜とお城はなぜこんなにもよく調和するのでしょうか。毎年、桜を見るたびに、しみじみ日本人で良かったと思います。
なかでも鶴ヶ城の桜と天守のコントラストは、青森の「弘前城」にも匹敵する最高の美しさではないでしょうか。

ご存知ない方のために、少し歴史のお話をします。

幕末の慶應4年(1868)戊辰戦争が起こり、鶴ヶ城は新政府軍によって攻められ、会津藩は籠城(ろうじょう)戦を余儀なくされました。
1ヶ月にもわたる籠城の末、新政府軍の砲撃にあって城の天守はボロボロになり、両軍に死傷者が多数出ました。
今から160年近く昔の話です。まだなのか、もうなのか。人によっても感じ方に違いはあるかと思いますが、やはり戦争は嫌ですね。平和が一番です。
幸いにも鶴ヶ城の石垣は当時のまま姿を残し、そのおかげで昭和40年(1965)になって城を復元することができました。

会津は新選組とのゆかりが深く、戊辰戦争では白虎隊の悲劇も忘れてはならないものです。その辺りについては、また次回以降発信していきたいと思います。


石部桜と薄墨桜

さて、会津の桜といえば「会津の五桜」と言われる名木が存在しています。その中から今回は、「石部桜」と「薄墨桜」をご紹介します。


まずは「石部桜」(いしべざくら)です。江戸時代、もともと、会津藩の重臣だった石部家の庭にあったと伝えられます。

写真は今から10年くらい前、行った日がたまたま大雪で「満開の桜と雪」になった、貴重な写真です。他ではなかなか撮れない写真ですね。朝6時に猛吹雪のなか撮影したのを覚えてます。

石部桜は、2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」でオープニング映像にも登場しました。会津の人間にとっては特別な桜で、樹齢650年とも言われるエドヒガン。その風格あふれる雄大な姿には見る人誰もが魅了されます。
この桜がずっと会津の移り変わりを見てきたのだと思うと感慨深いですね。大雪の中、ファインダー越しにも、人知を超えた強いエネルギーが感じられました。


次は会津五桜のうち「薄墨桜」。福島県会津美里町にある歴史ある古社、伊佐須美(いさすみ)神社のご神木です。

この桜は開花すると境内中が桜のいい香りで満ち溢れます。その香りの素晴らしさは、会津藩の第九代藩主で大河ドラマ「八重の桜」にも登場する松平容保公が「世の人の心や深く染めぬらん うすずみ桜 あかね色香に」という歌を残しているほどです。
立場も時代も超えて、桜の花が、いかに会津人の心を癒してきたのか、よくわかりますね。

今回は「鶴ヶ城」と「会津の桜」についてご紹介しました。
次回から、もっと掘り下げた会津の話や全国のお城の話を、写真作品と一緒にお届けしていけたらと思います。どうぞご期待ください。

 


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