神社に置かれる動物の像といえば?と聞かれて、思い浮かぶのは、きっと「狛犬」。お参りに行ったとき、狛犬の姿をまじまじと見てみたことはあるだろうか。「どれも同じ」と思い込んでスルーしていたとしたら、もったいない!
そもそも、そこにいるのは「犬」ではない。「獅子」という説もあるが、狛犬は想像上の動物で、神様をお守りする神獣だ。そして、神様をお守りする役目の神獣の像は、全国各地の神社を調べてみると、いろいろと種類がある。
普通の狛犬さんではなく、まさかの動物が「狛○○」として活躍している神社をいくつか紹介しよう。

●神猿/日枝神社(東京・千代田区)
●おきつね様/太鼓谷稲成神社(島根・津和野町)
●なで鹿/枚岡神社(大阪・東大阪市)
●狛蛙/水宮神社(埼玉・富士見市)

 

日枝神社(東京・千代田区)

日枝神社の詳細は https://hakken-japan.com/shrines/hiejinja/

神社境内にいるのは狛犬ではなく「猿」、しかも夫婦一対の「神猿像」が置かれていることで有名なのは、東京・永田町の高台に鎮座する日枝神社。かつては江戸城総鎮守、今でも首都東京の守り神として知られる、格式高い古社だ。
こちらに祀られている「大山咋神(おおやまくいのかみ)」が山の神様のため、同じく山の動物である猿が神様のお使いを務めることになったのだという。

神猿は「まさる」と読み、その音の響きから「勝る」「魔が去る」、また猿を「えん」と呼んで「縁を運んできてくれる」とも考えられ、神社の公式キャラクター「まさるくん」にまでなっていて、とても人気がある。
まるで神猿に導かれるように、勝ち運や魔除けを求めるビジネスマン、さらには縁結び祈願に訪れる女性や家族連れなど、日枝神社にはあらゆる年代の参拝者が毎日数多く訪れている。

人気の「まさる守」(御守)

日枝神社の本殿前で見られる夫婦の神猿像は、左側が子猿を抱いた母猿で、おまいりすると子宝や安産のご利益があるといわれている。
本殿前だけでなく、門の近くにも神猿の木像が一対あるので、こちらもぜひご挨拶していこう。
 

太鼓谷稲成神社(島根・津和野町)

太鼓谷稲成神社の詳細は https://hakken-japan.com/shrines/taikodaniinarijinja/

狛犬以外の狛○○、その代表格は「狛狐」。
「おいなりさん」といわれれば「狐」、ピンとくる人も多いかもしれない。全国の稲荷神社には必ずといっていいほど狐の像がある。

島根県津和野町「太鼓谷稲成神社」は、京都の伏見稲荷大社と同じく「日本五大稲荷」の一つだが、「稲荷」ではなく「稲成」。その名前には、大願成就などの意味が込められているそう。

目にも鮮やかな朱塗りの御社殿の近くに、シュッとしたハンサムな顔立ちの狐像が座っている。太鼓谷稲成神社へのお参りでは、お使いのお狐様に好物の「お揚げ」をお供えするのが習わしだ。

狛犬も狛狐も、それぞれの神社にまつられた神様を守る守護獣で、神様のお使い「神使(しんし)」と呼ばれる。
稲荷神社に「おきつね様」がまつられているわけではない。
太鼓谷稲成神社にまつられているのは「宇迦之御魂神(ウガノミタマノカミ)」という五穀豊穣(ごこくほうじょう)を司る神様。商売繁盛のほか、失せ物(紛失物)発見などのご利益もあるとされている。
 

枚岡神社(大阪・東大阪市)

母鹿と小鹿

父鹿

枚岡神社の詳細は https://hakken-japan.com/shrines/hiraokajinja/

なでると家内安全や無病息災、子供の幸せなどのご利益があるといわれる「なで鹿」がいることで有名なのは大阪の「枚岡(ひらおか)神社」。
この地で2680年以上という悠久の歴史を誇る古社で、奈良の誇る世界文化遺産・春日神社との深いつながりを感じさせるのが、なで鹿だ。

おみくじにも、なで鹿

神様のお使いとしてたくさんの鹿がいる春日大社と、「元春日」と呼ばれる枚岡神社のつながりとはーー。
もともと、枚岡神社にまつられていた二柱の神様が、春日大社を創建するときに招かれ、さらに今度は春日大社から二柱の神様が枚岡神社に招かれて、現在の四殿になったのだという。
枚岡神社の「なで鹿」は、神様のうち武甕槌命(たけみかづちのみこと)が茨城県の鹿島神宮から春日大社に「神鹿」に乗ってやってこられた、という伝説に由来する。

鹿の像は、子どもを抱えた女鹿と、お父さんにあたる男鹿の一対が狛犬の位置に置かれているほか、手水所にも、まるで清水を邪気から守るように凛とした表情でたたずむ鹿の像が見られる。
 

水宮神社(埼玉・富士見市)

水宮神社の詳細は https://hakken-japan.com/shrines/mizumiyajinja/

最後に紹介する狛動物は、なんと「蛙(かえる)」! 
群馬県の「水宮(みずみや)神社」では御社殿の前に、狛蛙が置かれている。いわゆる蛙からイメージするサイズ感よりもずっと大きく、その堂々たる姿は参拝すれば必ず目に入るはずだ。

水宮神社の元々の名前は「摩訶山般若院(まかさんはんにゃいん)水宮神社」。明治時代より前は、神社とお寺を兼ねた「神仏習合」のお寺だった。そんな名残りが現在でも残る、珍しい神社なのだ。

蛙にちなんで「旅先から無事帰る」「失くし物が返る」「若返る」と行った願掛けに訪れる人で毎日賑わっているそう。
阿吽(あうん)の表情をする一対の狛蛙の姿は、どこかユーモラスで愛嬌も感じられる。お参りにいったらぜひチェックしてみてほしい。

狛蛙のミニチュア置物

 

いかがだっただろうか。狛動物、狐や鹿ならともかく、まさか蛙がいるとは思わなかったという人も多いのでは?

いつも行っているお馴染みの神社、旅先などで初めて訪れた神社でも、注意してみると、ほかにも牛や馬、鳥、いろんな狛動物たちがいることに気づくだろう。
狛犬も一つとして同じものはなく、さまざまな種類や表情が見られる。注意して眺めてみると、神社へ通うことが楽しくなってくるはずだ。


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