日本全国どこにでもある「神社」は、神様のお社(やしろ)、おうち。それぞれに祀られている神様も違っていて、大きい神社も小さな神社もあるが、何社か境内を歩いてみると一定のルールとバリエーションがあることに気がつくはずだ。
神社の境内は、神様と参拝する人々を結ぶひとつの世界。お参りに行ったとき自然に目に入ってくる、さまざまな建物や置いてあるものにはひとつずつ名前と意味があることを知っているだろうか。
東京五社のひとつで悠久の歴史と広い境内地を持つ「大國魂神社」(東京・府中市)の画像を参考に、それぞれについて見ていこう。
 

鳥居(とりい)

神社は神様のいらっしゃるご神域。鳥居はその「聖域」と、私たちが暮らす「俗界」を隔てるもの。鳥居から先は神様のいらっしゃる場所であることを示している。鳥居をくぐる時はその前で一度立ち止まり、「失礼いたします」という気持ちでお辞儀をしよう。

大國魂神社の大鳥居。御影石製では日本一の大きさと言われている

参道(さんどう)

入口にある鳥居からつづく道。神社によっては玉砂利(たまじゃり)が敷いてある。

参道を歩くということは、一歩ずつ神様の世界に近づいていくということ。玉砂利を踏むシャリシャリという音は身を清めるともいわれている。参道の中央は「神様の通り道」とされているので、脇を歩くようにしよう。

参道

狛犬(こまいぬ)

社殿や参道の両脇に置かれている狛犬の像。神域に魔物が侵入しないように見張り、神様を守護する役目を持つ。狛犬ではなく狐や牛、猿など別の動物の像が狛犬の代わりになっている神社もある。(→関連記事)

狛犬

手水舎(ちょうずや/てみずや)

参拝の前に、手や口をすすぐための水場が手水舎。

日本の神様がもっとも大事にされるのは「清浄」であること。そのため、古くは参拝の前に川に入り心身を清めていたのだ。手水舎で手などをすすぐのは、それを簡略化したもの。心のけがれも水に流す気持ちで行いたい。

手水舎

社務所(しゃむしょ)

神社で神様に奉仕する役目の「神職」(しんしょく)や「巫女」(みこ)の方々が控えている場所。厄祓いなどのご祈願や神前結婚式を希望する場合などは、まずここを訪ねる。

社務所

授与所(じゅよしょ)

お守りや神札をいただく場所を「授与所」という。社務所に併設されているところも多い。

授与所

境内社(けいだいしゃ)

中心となる御社殿とは別に、境内にいくつかの小ぶりなお社を見かけることもある。これらは摂社(せっしゃ)、末社(まっしゃ)と呼ばれるもので、総称して境内社という。摂社はその神社のご祭神とゆかりのある神様、末社はご祭神より前にその土地でまつられていた神様のお社である場合が多い。

境内社。大國魂神社には「稲荷神社」ほかいくつもの境内社がある

御社殿(ごしゃでん)

神社の中心になる建物。手前から順に、お参りのために参拝者が並ぶ「拝殿(はいでん)」、お供え物を並べる「幣殿(へいでん)」、さらに神様のいらっしゃる「本殿(ほんでん)」という構造になっているところが多い。本殿の扉は固く閉ざされ、中を見ることはできない。でも、神様の側からは参拝者がよく見えている。

拝殿。大國魂神社では内部で拝殿と幣殿に分かれている

大國魂神社の御本殿。江戸時代につくられたもので東京都の重要文化財に指定されている

神楽殿(かぐらでん)

日本の神様は歌舞音曲が大好き。神社で行われるお祭りの時には、巫女舞や雅楽の演奏などが神楽(かぐら)として神様に捧げられる、そのとき舞台となるのが神楽殿。神社によっては夏祭りなどに地域の人たちが神楽殿で踊りや音楽を披露することもよくある。

大國魂神社 神楽殿


画像協力/大國魂神社

記事監修/平井かおる(日本の神道文化研究会)


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