写真/中島光行

こんにちは。写真家の中島光行です。

再訪を重ねることで新たに気づく京都の魅力を伝えるプロジェクト「三度目の京都」で撮影を担当しながら、ファインダー越しに立ち上ってくる京都の美を切り取り、発信している日々。
京都に生まれ、京都で育ってきた中で、当たり前のように傍にあるものに改めて感じ入ることも少なくありません。

前回は「秋ならではの京都の美」をテーマに、詩仙堂をご紹介しました。
続く3回目は、寒さにめげず蕾をふくらませる梅が見頃を迎える北野天満宮です。

ここは言わずと知れた梅の名所。京都の梅を語る上で、天神さん(京都の人は親しみを込めてこう呼びます)は外せません。
あまりに有名すぎて多くのメディアで取り上げられていますが、この季節の凛とした佇まいは格別です。
多くの方のお目当ては、参道脇の梅苑でしょう。もちろん、濃淡さまざまな花々の重なりと奥行きは見応えがありますし、ほのかに充ちた馥郁(ふくいく)とした香りに心が和らぎます。

「花よし、香りよし、果実よし」と三拍子そろった梅は、春の到来を告げる花として古くから愛されてきました。
「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と詠んだ菅原道真公ゆかりの紅白の梅が咲き誇る天神さんの境内は、どこも美しい。
ですが、中でもぜひ見てほしいのは、気品高い花々の向こうに見える「史跡 御土居」。

「御土居」とは、桃山時代、洛中洛外の境界として水防のために豊臣秀吉によって築かれた土塁のこと。
天神さんの境内西の一帯にはその一部が残され、初夏にはみずみずしい新緑の「青もみじ苑」、秋になると紅葉が見事な「もみじ苑」として多くの見物人で賑わいます。
近年では、青もみじの清々しさが非常に人気です。この御土居を覗いてもらったら、きっとそこに再訪のヒントが見つけられると思います。

いま目の前にあるだけではない、想いを馳せる先で我々を待ってくれているものと出合うため、また足を運ぶ――そういう愉しみ方もとても素敵ではないでしょうか。

梅を愛でた後は、門前にある甘味処で名物の粟餅を食べたり、最も古い歴史を持つ花街・上七軒を散策したり。

まだ寒さが残る2月は、人も少なく、ゆったりと街あるきをするにはもってこいの季節です。

また、毎月25日には「天神市」が立ち、多くの参拝者が訪れますが、中でも道真公の祥月命日にあたる2月25日には「梅花祭」が執り行われ、秀吉公が北野大茶湯を開いた故事にちなんだ「梅花祭野点大茶湯」も催されます。

名所の名所たる所以を五感で確かめてみてください。


北野天満宮 https://hakken-japan.com/shrines/kitanotemmangu/

京都市上京区馬喰町 TEL 075-461-0005

楼門の開閉時間:5:00~18:00(4~9月)、5:30~17:30(10~3月)

社務所・授与所:9:00~17:00 ※境内は参拝自由

 

【梅苑公開】

例年2月初旬~3月下旬

開苑時間:9:00~16:00

入苑料(茶菓子付):大人1000円、こども500円


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