はるか昔から私たち日本人の暮らしに深く関わり心のよりどころになってきた、「神社」と「お寺」。見たことくらいはあるだろうが、では建物の中に入ったことは? 最近は、どちらも日常的なお付き合いをする人たちの減少が問題になっていたりもする。
一方で、御朱印ブームや社寺(神社とお寺のこと)巡りを趣味とする人もたくさんいて、じつは知れば知るほど楽しい「神社」と「お寺」。
そこで今さら聞けない両者の違いを、クイズ形式でわかりやすく紹介してみよう。

まずは、神社とお寺とはそもそも何か、あらためて振り返るところからーー。
 

Q.1 神社でおまつりする「神様」のなかには「仏様」もあるのか?

A.仏様にお祈りする場所はお寺、神社にはたくさんの日本の神様

太古の昔から「あらゆるものに神が宿る」と日本人は考えてきた。日本の神話を伝える「古事記」に出てくる、最も重要な神様は太陽神、天照大御神(あまてらすおおみかみ)。その他に、多くは自然崇拝的な神々、さらに歴史上の偉人、その土地を守ってきた神様など、本当にたくさんの神様(八百万、やおよろずと呼ばれる)を日本各地でそれぞれにおまつりする場所が「神社」だ。

西暦6世紀、飛鳥時代になると、インドで生まれた世界的な宗教・仏教が大陸から中国を経由して日本に伝来する。仏教とはお釈迦様(仏陀)や菩薩などの「仏様」を信仰していて、そのためにつくられた施設が「お寺」。寺院、仏閣などとも呼ばれ、日本以外も世界各地にある。
仏教にはさまざまな「宗派」があるが、悟りをひらいた人という意味の「仏陀(ブッダ)」、つまり仏様を教祖としている点は共通する。
 

Q.2 お寺の入り口にある門は、神社の鳥居と同じような意味合い?

A.意味としては近い。神社には鳥居、お寺の入り口には「山門」があることが多い

おなじみの地図のマークにもなっているように、「鳥居」は神社の目印。
石や白木の鳥居もあるが、大きく朱に塗られた鳥居は、遠くからでもそこに神社があるとわかる。鳥居から先は、神様のお住まいなので、くぐるときは頭を下げて一礼を。

神社の鳥居に対して、由緒あるお寺の入り口によくあるのは立派な門で、「山門」(さんもん)と呼ばれている。
ただし、この区別は100%そうともいえないので、少し注意が必要だ。
明治時代になる前は、神社とお寺は今ほどはっきり区別されていなかった。神社もお寺も歴史が古い。そのため、建築物には江戸時代やそれ以前につくられたものも多く残っている。
数は少ないが鳥居を残したお寺もあるし、神社で山門とよく似た「神門」「楼門」などと呼ばれる立派な門を見かけることも結構多い。

左/神社の鳥居、右/お寺の山門
 

Q.3 お寺にいるのは、お坊さん。では神社にいる方々を何と呼ぶか?

A. 神社で神様に奉仕するお仕事は「神職(しんしょく)」

神社で神様に奉仕する方は「神職(しんしょく)」。「神主(かんぬし)さん」ともいう。なかでも、その神社の長、責任者となる神職さんは「宮司(ぐうじ)」と呼ばれている。

これに対し、お寺で仏様に奉仕するのは「僧侶(そうりょ)」、わかりやすい言葉では「お坊さん」。そして、そのお寺の長となるお坊さんのことを「住職(じゅうしょく)」と呼ぶ。

神主さんもお坊さんも、位階つまり役割や身分によって、呼び名や着用する衣裳もそれぞれ異なってくる。以下は一例。

左/お寺のお坊さん 右/神社の神職さん
 

Q.4 お坊さんがあげる祈りの言葉は「お経」。では、神社では?

A.. 神社で神職さんがあげるのは「祝詞(のりと)」

お寺の法要などでお坊さんによってあげられているのは「お経」。
お経の内容は、多くは仏様の教えについて。お釈迦様が生まれた国などで作られ、大陸経由で日本に入ってきた。なので、よく聞いてみると日本語ではない言葉も多い。

これに対し、神社での結婚式など神社の拝殿の中に入ってのお参り(正式参拝)では、神職さんによって「祝詞(のりと)」があげられる。
こちらで使われているのは「大和言葉」(やまとことば)というもの。祝詞は古くからの神様との間で交わされるものなので、いまの私たちにとっては耳慣れない古語となっている。
祝詞は、古くは神様からのお言葉を伝えるものだったが、現在では人々から神様への感謝や祈願などが織り込まれたものが中心になっている。

 

神社の結婚式などの祝詞で印象的な「かしこみ かしこみ もうす……」というのは「恐れながら申し上げます」といった意味
 

Q.5 神社でおまつりする「ご神体」って何? 見ることができる?

A. ご神体を一般の参拝者が目にすることは、ほとんどない

神社とお寺の違いのひとつは、手を合わせる対象が目に見えるところにあるかないか、ということもある。

神社では、目にふれる場所に神霊が宿るご神体はなく、社殿のなかでも奥に位置する「本殿」に安置されているものだ。
ご神体は一般的に鏡や剣、玉などが多いともいわれるが、それを参拝者が直接目にすることは、まずない。
また、神社によってはそもそも本殿にあたる建物が作られず、たとえば背後の神聖な山や岩、滝などがご神体となっているところもある。

これに対し、お寺の本堂にはご本尊をはじめとする仏像が数々安置されていて、そこに仏様を感じて手を合わせるとよい。

同じお参りするのでも、このように神社とお寺では違いがある。
 

Q.6 お寺の「宗派」のようなグループは神社にもあるか?

A. 同じ名前や似た名前の神社は全国各地にある。しかし運営は別々

お寺には「宗派」というものがある。天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗など、名前を聞いたことがあるかもしれない。
それぞれの宗派に「総本山」などと呼ばれる中心となる寺院があり、同じ宗派内のお寺同士のつながりもある。各宗派ともに、宗派の開祖となった高僧(徳の高い僧侶)のことを敬っている。 

神社も、たとえば「稲荷神社」「八幡神社」など、同じような名前をもつ神社は全国各地にあって、同じ神様(ご祭神)をおまつりしている。
ご祭神についての信仰が始まったおおもとの神社のことを「総本社」「総本宮」などと呼ぶが、お寺の宗派に比べると各神社間には直接的つながりはなく、それぞれ独立して運営されているという点が違う。
 

Q.7 神社とお寺のお参り、基本的な作法の違いは?

A. 神社は「二拝二拍手一拝」、お寺では静かに「合掌」

神社もお寺もそれぞれに定められた参拝の作法があるから、お参りするときには間違えないようにしよう。

神社のお参りの作法は「二拝二拍手一拝」。
「拝」とは深いお辞儀のこと。この拝を2回行い、感謝の気持ちで手を合わせて2回「拍手」。そして最後にあらためて、「拝」をもう1回。
何かお願い事がある場合、その後に再び手を合わせてゆっくりと祈る。最後にも頭を垂れる気持ちになるはずだ。

お寺の参拝では神社のような拍手は行わず、両手を合わせる「合掌」のみとされる。
ただし仏様に向かうのだから、祈念の前後には丁寧にお辞儀を。お願いは、合掌するところで心深く念じたい。
また、本堂の中でお参りするときに「焼香」(しょうこう)をすることもある。

 


原文/平井かおる(日本の神道文化研究会) 


イラスト/今井未知 www.michiimai.com

 

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