皆さん、こんにちは。本当にお久しぶりです。令和初のミスター土方です。
前回のコラム更新から1年近く、季節は巡り巡って、なんともう秋!!皆様いかがお過ごしでしたか?
私の方は、2023年は「ひの新選組まつり」くらいしか新選組に触れる生活が送れておらず。新選組関係で得られる心の栄養チャージ不足で癒されたい欲マシマシです。
そんなわけで今回は、昨年の初夏に訪れた会津若松への旅で書けなかったお話を。
ちなみに前々回のコラムがこちら、少しおさらいしておきましょうか。
ミスター土方の縁合わせ旅〜會津で試衛館稽古と近藤勇ゆかり約束の血梅
天然理心流 試衛館の皆様と、新選組と縁の深い会津藩主・松平容保公の居城「鶴ヶ城」敷地内にある武道場「武徳殿」での出稽古に参加させていただきました。慣れない稽古で足腰が限界だった私は派手に転倒。足裏の皮が今まで経験したことのないくらいグロテスクに剥けてしまい、その翌日なんとか足裏の痛みに耐えつつ、新選組局長・近藤勇ゆかりの「血梅(ちばい)」の植樹式に参加しました。
さて、そこからの続きが今回のお話です。
植樹式参加者の方にご厚意で送っていただき到着したのは、會津藩と土方さんのファンなら一度は泊まりたいお宿。東山温泉「くつろぎ宿・新滝」!
新選組副長・土方歳三が、戊辰戦争「宇都宮城の戦い」の激しい攻防で足に深い傷を負った後、その傷を癒したと伝わる「猿の湯」と同じ源泉です。新滝さんは江戸時代、会津藩主・松平氏の別荘だったそう。容保公も心身を癒しに来られたのでしょうか。
ご縁あって、そんな歴史あるお宿に宿泊させていただきました。
チェックイン時に「お帰りなさいませ!」と言ってくださって、そのお心に胸が熱くなりました。
いったん荷物をお部屋に置いて、さっそく湯治へ。
渡り廊下を進むと見えてきたのは、庭師さんがしっかり手入れされていると一目で分かる、風情のあるお庭です。
浴場の看板に、しっかりと「土方歳三 湯治の源泉」。
負傷した私の足はどうなるのか… ドキドキしながら入浴です。
なんと一番乗りだったらしく、猿の湯を独占状態。
まずは、かけ湯から、用心しながら全身の汚れをしっかり落とします。
しかし不思議なことに、足にかかる湯が傷に響いてないような?既にフラシーボ効果なのか??
とにかくさっぱりとしたので、次は猿の湯の露天風呂で冷えた体を温めましょう。
つま先を湯に入れる瞬間、また不安が… お湯に浸かった瞬間に傷に染みて叫んだらどうしよう?
しかし、心頭滅却すれば大丈夫。そう自分に言い聞かせて、一気に湯の中に。
あれ? 痛みは確かにある。
でも、まろやかな湯が、じわ~っと傷口を癒すかのように、湯の中の気泡が傷口を優しく撫でているような感覚。
思わず力んでいた体を緩め、ほうっと息を吐きます。
猿の湯の横を流れる川の音と時折聞こえる鳥の鳴き声、風の揺らす葉の音。それ以外には何も聞こえません。自分を癒し、向き合う時間です。
土方さんも湯治に来た際、こんな風に感じたのでしょうか。
まったりと湯を楽しんだ後は、会津の縁起物「起き上がり小法師」柄の浴衣に着替えて、火照った体を休めます。
そして湯上がりと言えばやっぱりアレですね。
瓶の牛乳…ではなく、珈琲牛乳をチョイス。会津といえば「べこの乳」、おさげ髪の「あの子」が可愛い!
ゆったりと涼んだら館内を見ながら部屋へ戻りました。
新滝さんには、會津にまつわる本などを見る事ができる「ライブラリーラウンジ」があります。フリードリンクもあり、その中にはなんと會津の酒造の焼酎も。
ラウンジで焼酎を味わいつつ、次はどこに行くか検討するのも良い時間ですね。
飲み物だけでなく、ラウンジの調度品にも、重ねてきた会津の時間が感じられます。
こちらの囲炉裏は、どうやら現役なのかな?
寒い季節に色んな目的で旅をしている方々が、囲炉裏を囲んで話に花を咲かせる、そんな様子が目に浮かびますね。
その後は、部屋に戻って一服。
と思っていたのですが、窓から見えた空がとても綺麗で、足の痛みも薄れていたこともあり、着替えて外に出ることに。
訪れたのは新緑の時期でしたから、木々の緑が生き生きしています。
道なりに少し歩いて到着したのは、こちら
この湯壺こそが、土方さんが湯治したと言われている小さな露天風呂。
管理されている方に伺ったところ、数年前まで入ったりできていたようです(管理者の許可がある方のみ)。
いくらファンだからと勝手に入ってはいけませんよ!!マナーを守るのは大事です。
この湯壺、本当に川の近くにあります。土方さんは湯治の際に川に飛び込んだと言われていますから、今でいうサウナの「整う」を実践されたのでしょうか。
整うといえば、私も猿の湯に入って来たためか、確かにあまり足の痛みを感じませんでした。
同じ源泉での湯治の効果、十分に感じる事が出来ました。
そして翌日の早朝は、新滝さんの「天然岩風呂・千年の湯」にも入ってきました。
松平家ゆかりの温泉自噴の岩盤をそのまま生かし、大きな一枚の岩壁に守られているような、とても静かな温泉です。
窓から差し込む朝日に照らされ、余計なものが一切ない、まるで禊(みそぎ)の場のようでした。
全身で歴史の重みを感じるような、身の引き締まる朝風呂。生まれて初めての経験でした。
新滝さんでは「日帰りプラン」もあり、そちらを予約すれば新滝さん自慢の4つの温泉に入浴することが出来ます。
憧れの東山温泉、でも宿泊は無理だし日帰り入浴も時間がない!という方にもおすすめできる場所があります。
それは、先程ご紹介した、壁一面の土方さんを真正面から堪能できるところにある『東山温泉 足湯処』。
ここの足湯は、無料で開放されています。私が行った時にはカップルさんやロードレーサーさんご一行が足休めをされていました。
會津の風と湯に元気をもらって、また次の旅に向かいましょう!
あっ、足を拭くタオルだけは忘れないでご用意くださいね。
このコラムを書くにあたり、御助力いただきました
くつろぎ宿 新滝 様
本当にありがとうございます。
會津もお伝えしたいことがたくさん。一度にお話をまとめるのが難しい反面、こうやって思い返せば、また帰りたくなります。
今回は珍しく、神社仏閣が出てこなかった回でした。
次の縁合わせの旅は、どんな出会いを結んでくれるでしょうか。
これからも、たくさんの素敵なご縁に恵まれることを願って。
それでは皆様。また、お会いしましょうね!
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