いつもおおきに、嶋原の葵どす。
新型コロナウイルスで、リーマンショック以上の非常事態に陥ってますが、皆さんお元気どすか??
全国の花街は、大打撃を受けております。各地の踊りの会も、3蜜を避けるため、中止や延期を余儀なくされました。
お人さんのいいひん、こんな京都を二度と見ることはないなと思うてます。

さて今回は、修行期間中の「禿」(かむろ)達の今昔の違いについてのお話。

まず、「禿」(かむろ)と言うのは、太夫になるための修行の初めどす。
禿の間に、お稽古をしながら自分が担当している太夫の身の回りのお世話をし、いろんなことを学んでいました。

昔は、「禿」から「少女」(しょうめ)へ進み、そして今はいいしまへんけど「天神」(てんじん)となり、その修行期間中に「この子は太夫になれるかな?芸妓止まりかな?」と、所属している置屋(おきや)の当主または女将が判断していました。

まだまだ嶋原が賑わっていた昭和初期の写真には、少女や芸妓の姿も写っておりました。
時代が変わっていくにつれて維持できる資金もお客様もなくなり、太夫と禿しかいない、そんな現状になってしまいました。

今の禿の子達は皆、それぞれお家で家族と過ごしながら、お仕事がある時に来てもらうような形どす。
昔は教養として当たり前にしていた芸事も今の時代ではなくなりました。今は、近所の子や、お客様や友人の紹介で来てくれる子どす。
その中でも「お稽古したい」と言うてくれてる子は、一緒に舞のお稽古に励んでます。
こちらの気持ちとしては「太夫になってくれたら嬉しいなぁ」と思いますが、強制はできしまへんので。

「少女」は何十年と途絶えていました。今の関係者は誰一人として見たことない上に、もう衣装もおへんのどす。
せやし、うちは禿を卒業した半年後には「振袖太夫」になったんどす。

末廣屋の禿達は、ほとんどの子が芸事に興味を持ってくれて舞のお稽古をしています。
舞のお稽古をしてくれている子は、少女へと進めるようにしました。
天神も復活させたいなと思うてはいますけど、そこからはほんまに太夫になろうと決意をしてくれた子だけ、と思うてます。

舞妓もそうどすけど、煌びやかな世界への憧れだけではやってはいけしまへん。

芸事ができるから言うても接客が大事どす。太夫はほんまにいろんなお話ができるようにならなあかん。
そうなるためには高校も、行けるなら大学も行ってアルバイトも経験して、学校の勉強だけではなくいろんな社会のことを学んでほしいんどす。

舞妓は一年ほど仕込みしたらなることができます。それは、芸妓になるための修行期間が舞妓やからどす。

太夫は、大人になってからなりたいと来てくれはっても、まず芸事何もされてなければ10年はかかります。
その間も自分でやりくりせなあきまへん。


SNSで発信してますので、たまに、メール等でご連絡頂きます。その時にちゃんと名前等を自己紹介される方というのは滅多にいいしまへん。
その段階でまずお返事することもおへん。どこの会社でもそんな人採らしまへんね?

そういったことも含め、子供の頃から禿として育てるのは吸収しやすい間にいろんなことを学ばせていく必要があるからやと思います。
全員が太夫になってはくれへんと思います。
でも大人になった時に日本文化の礼儀作法に触れ合っていてよかったと思うてもらえるように厳しく指導しております。

今はほんまに大変な状況で、禿たちにお仕事させてあげることができひん状態どす。
コロナが終息したあと、お客様が戻ってきてくださることを願います。


この現状の中、嶋原の文化を維持、継承をしていくためにと思い、クラウドファンディングを立ち上げました。
嶋原を知ってもらえる、遊んでもらえるきっかけになればと思うてます。

よろしゅうおたのもうします。

京の花街『嶋原』 もう一つの花街 存続支援プロジェクト ※2020年6月終了
https://camp-fire.jp/projects/view/270524?list=watched


【Information】映画『燃えよ剣』に、葵太夫役で出演!

映画『燃えよ剣』 2021年秋 公開決定!
原作:司馬遼太郎    監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介、伊藤英明 ほか


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