こんにちは、嶋原の葵どす。
まだまだ大変な状況どすけど、試行錯誤しながらお仕事してます。

今年から末廣屋はYouTubeに「太夫」(たゆう)のプロモーション等をアップしています。
このコラムと併せてご覧いただくと、これであなたも嶋原通。
今回は、「太夫のお仕度」。普段見せない裏側をご紹介します。
 

まずは髪結い。

太夫の髪は、いまでも地毛どす。
太夫の髪結いができる人は現在、たったおふたりだけになってしまいました。上の先生は90代、うちとこ専属の先生はもうすぐ80歳。このおふたりが、現役の太夫の髪を支えてくださっています。

舞妓と比べると大きさが違いますし、何より髪型の数。舞妓の髪型は5~6種類のところ、太夫の髪型はわかっているだけで37種類、復元できているのは24種類。これを残して伝えていくことは、ほんまに大変なことどす。

昔は、髪型だけで身分がわかる……というくらい重要な役割。日本髪は奥が深おす。

 

続いて、お化粧。

白粉どす。
下地は鬢付け油。手の温もりで油を溶かし顔、首、襟足に伸ばしていきます。ここが一番大事どす。
この油を綺麗に伸ばしきれてないまま白粉を塗りパフではたくと、くっきりと塊があったりまだらになったり。その場合、そこだけ直すということはできず、一からやり直しになるんどす。

襟足が3本なのは「襟足が綺麗に見えるように」どす。
芸舞妓の襟足は黒紋付と舞台の時だけで、太夫のよりも少し短めどす。

白粉のあとは、頬紅。これも白粉と同じくピンクの粉状のものを水で溶いて塗り、パフではたいています。
目尻にお紅をぬり、濡らした綿棒でぼかします。眉もお紅を塗り綿棒でぼかしながら整え、少し黒も足します。
アイラインとマスカラは現代のお化粧どすね。

太夫ならではの化粧といえば、お歯黒と下唇のみのお紅。

お歯黒は、宮中では白い歯をみせるのははしたないとされ、御所にあがる男女の成人の証どした。
現在のお歯黒は、舞台用で蝋のようなものでできています。塗るときは火で溶かして塗り、取るときはティッシュで簡単に拭き取れます。

お紅は、宮中ではおちょぼ口が「美人の条件」。そのため、下唇にだけ付けてます。
太夫は、この宮中の化粧法を今に残す存在どす。

※基本は一緒どすけど、お化粧の仕方は好みで皆違います。あくまでこれはうちのやり方どす。

 

お化粧が出来たら、簪(かんざし)どす。

基本的に、普段は22本。髪型によって挿し物はかわってくるので本数も少し変わります。
鼈甲(べっこう)で作られた「八本」、舞妓の1.5倍の「大花櫛」「びら」「びら止め」「てらし」「平打ち」「玉簪」、前後左右に揺れる珊瑚(さんご)でつくられた簪「ながさき」。さらに「見送り」(嶋原内では「団子」とも呼んでます)、毎月替わる「前挿し」。
頭だけで約4㎏もあります。

 

頭が整ったら、着付け。

肌襦袢、襦袢、太夫である証明の「襟」。これは襟だけで中の朱が見えるように返します。
中着。太夫の衣装は十二単を簡略化された衣装やので、紐はたった1本で結びます。普通の紐の4本分くらいどす。
帯は約4m40㎝くらいの長さがあります。「嶋原結び」と言い、漢字の「心」を表わしてます。

最後に、打掛を羽織り完成どす。
 

髪結いは1時間くらい、お化粧は白粉から簪まで入れて20分、着付けは10分くらいどす。

いま現在の姿になったのは幕末以降からで、その前を遡るとずっとシンプルやったんどす。
ここまで豪華になったのは、情報が入るようになり、進化したからと言われています。

今も昔も、女性にとってオシャレは欠かせへんのどすね。


⇩併せて見とくれやす⇩
YouTube「太夫のお支度」
https://www.youtube.com/watch?v=wz_A4gtpUkE
※限定公開中

写真協力:京都散歩の旅


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