花嫁モデル/小笠原エリイ(めぐりっつ)

七五三モデル/若林怜(めぐりっつ)

撮影/白久雄一(フォ・ラージュ)

ヘアメイク/久保りえ(プラスナイン)

着付・衣裳監修/kasane 原良子美容室

日本全国、秋の神社で見られる着物のある光景といえば、七五三と結婚式。そこで「ハッケン!ジャパン」のフリーペーパー秋号の表紙撮影での着付け・着物監修を手掛けたブライダルサロンkasane、株式会社原良子美容室・代表取締役社長の國見 大さんに、記念日に着物を着ることの意味と、最近の七五三と結婚式の衣裳の傾向について。さらに、そこをきっかけに着物デビューを叶えるにはどうしたらいいのか教えてもらった。
 

人生節目の行事で成長を実感できる、着物の魅力

お宮参り、七五三、成人式、結婚式。日本伝統の節目の行事には、ぜひ着物を着てほしいと國見さんは話す。

「子どもの成長を祝う七五三では、晴れ着を着せて神社へお詣り、記念撮影に会食となかなか大変だと思います。でも、それも後から振り返れば良い思い出。最近はエンターテインメント性が高まっているようですが、伝統的な意味合いで本来は和装で臨むべき行事。スーツやワンピースは七五三でなくても着る機会はあります。せっかくだから、ご両親も着物を。フォーマルな着物ではなくても訪問着、いわゆる略礼装でOKですから」

髪飾り/おはりばこ、七五三衣裳/三越伊勢丹グランジュール

また、いまは日常的に着る機会が少なくなった着物だが、大人になってから興味を持つきっかけのひとつになるのが、結婚式。その予定がまだなかったとしても、白無垢に色打掛、引き振袖といった華やかな花嫁衣裳に憧れを抱く女性も多いだろう。
花嫁の着物は、自分で着るのではなく、専門の着付け担当に着せてもらう。それは世界的に見て、じつは大変珍しい文化なのだそう。

着物は日本の民族衣裳ですが、他国の場合、自分で着ることのできるものがほとんど。ひとに着せてもらう着物はすごく新鮮で貴重な体験になります。せっかくの記念日、それも一生に一度の結婚式ですから、日本伝統の民族衣裳である着物を選んでほしいですね。着付けやお色直しが大変というイメージを抱く人もいるかもしれませんが、実は洋装の場合とそこまで変わりません

婚礼着付けのプロが今秋注目する花嫁衣裳の傾向は

「最近は、白無垢だけでなく色打掛の両方を着る花嫁さんが多いです。この秋に着るなら、色打掛は紺や緑、オレンジ系といった温かみのあるグラデーションのものや、クリーム地に金やピンクの刺しゅうが施されたものなどオススメです」

花嫁衣裳・髪飾り・小物一式/白無垢屋

婚礼専門の着付けには “最高に美しいルール”がある!

結婚式で和装を選ぶにあたり、気を付けたいのが着付けや美容をどうするのか。一般着付けと婚礼着付けは違うことは頭に入れておきたい。メイクについても同様だ。

「普段、通っている美容室なら信頼できて安心という気持ちは分かるのですが、着付けに関してもヘアメイクに関しても、結婚式については婚礼専門で行っている美容室に依頼するのが安心だと思います。Instagramで情報を得る花嫁さんは多いと思いますが、『いいな』と思う美容室やヘアメイクさんが着付けや結婚式のヘアメイクをどのくらい経験しているのかはチェックした方がいい。やはり着付けもヘアメイクも、経験数と技術力はイコール。写真映えやイメージに偏りがちですが、婚礼の着物には受け継がれてきた“最高に美しい着付け”のルールがあります。結婚式が儀式であるということは忘れないでいたいですね」

ほんの少しの興味が着物へのファーストステップに

結婚式で着物を着て興味をもち、また着てみたいとなる人も多いはず。たとえば七五三、お正月。しかし、日常に着物を着るとなると、少々ハードルが上がる。

「最近は着付け教室が人気ですし、鎌倉や京都などの観光地や都内でも着物や浴衣が着られるプランは結構ありますよね。着てみたい気持ちは皆あると思うんです。成人式で振袖を着るのもそうですが、着物は“大人への第一歩”というイメージは日本人なら誰しも持っているのではないでしょうか」(國見さん)

着物へのハードルが高くなってしまった現実はある。しかし、ハードルを乗り越える方法は意外と簡単だというのが國見さんの考えだ。

【実家やおばあちゃんの着物があるなら】

着てみたいという気持ちがあるなら、実家にある着物をプロに見てもらうのが早道。着物の状態、クリーニングが必要かどうか、小物はそろっているかを確認、適切なアドバイスをしてもらえる。

【いま自分の着物をもっていなくても】

着物がない人は、まずは古着屋さんに足を運んでみるのも良い。リーズナブルな値段で手に入るので、着物のスタートとしてはオススメ。

【着物や着付けのマナーを知らなくても】

着物の知識がないことがネックと考える人も多いが、今は洋服に近い感覚の普段着物もあるし、着こなしも自由になってきているから旬で着たいものを選ぶのも良い。分からなければお店の人に聞こう。間違っている点があっても教えてもらえば大丈夫。

知らないことは恥ずかしいことではない。知らなければ聞く、それが文化として広がればそれに正しく答える文化だって広がる。そうなれば、着物がもっと身近な存在になっていくのでは、と國見さんは語る。
着てみたい気持ちがあるなら、自分の周りに着物がないか探し、見つけたらプロに見てもらう。着物との接点ができたらまずは着てみよう。初めのきっかけさえ生まれれば、きっと次につながっていくはずだ。


國見 大(くにみ だい)
1932年創業、老舗の伝統を大切にしながら今を追求する「株式会社原良子美容室」代表取締役社長。出張ブライダルヘアメイクや十二単の結婚式プロデュース、プライベートヘアサロンを経営する他、全日本婚礼美容家協会講師、テレビや雑誌などの各メディアで着付けを担当するなど活躍の場は多岐に渡る。

Kasane 原良子美容室 https://harayoshiko.com/


取材・文/濱岡操緒(ハッケン!ジャパン編集部)