写真/中島光行
こんにちは。
写真家の中島光行です。
京都に生まれ、京都に育ち、京都を拠点に活動を続けていても、いまなお新たな発見に感じ入る日々を過ごしながら、再訪を重ねることで見えてくる京都の魅力を伝えるプロジェクト「三度目の京都」で撮影を担当し、カメラを通してこそ 気づく京都の美しさを発信しています。
前回は「冬から始める京都探訪!雪景色の奥に見る美しさを発見」と題して、冬ならではの圓光寺佇まいについてご紹介しました。続く 2 回目は、最も敬愛するお寺として親しみを感じている詩仙堂です。
こじんまりとした静かな禅寺ですが、正座 を してピシッとしなくても、リラックスしてぼ~っとお庭を眺めて、ほっこりして帰れる 場所。もとは個人宅だったこともあり、友人の家をふらっと訪ねるような気持ちになれます。朝の人が少ない時間帯もいいですが、受付ギリギリの夕方がおすすめ。西日が差してとてもきれいです。
詩仙堂を最初に意識したのは高校生の頃。チャールズ皇太子と故ダイアナ妃が訪れたことがきっかけでした。訪問の様子を 写真家である 父親が撮影することになり、 軽い気持ちでついていきました。そのとき、ちょっとミーハーな感覚ではありますが、「ここは英国の王妃が来るところなのか!すごい!!」と思ったのを覚えています。その後、写真を仕事にするようになって通い 始めると、それまで 俯瞰的に 見ていたところに 近寄ってみたり、去年とは 違う角度に 面白さを 見つけたり。 毎回新鮮な見方で向き合うことで、 ハッケン が増えていったのです。
住職をはじめ、奥さん、娘さん、副住職の息子さんと、お寺の管理はご家族でされています。暑い日も雪の日も、雨が降っても、身体がしんどくても、 365 日、掃き掃除をして砂紋を引いて 。そうして、ここのお庭はいつも美しく保たれているのです。 真摯な姿勢や深い愛情がそこかしこに溢れていて不思議と 温もりを感じることで、観る側 に も自然と愛着が湧いてくる。 とくに早朝、拝観前の時間に撮影をさせていただくと、 そのご家族のいつでも変わらない お寺への想いを目の当たりにします。だからこそ、尚更、そこに愛情を見出してしまうのかもしれません。
もちろん、お庭を見物するときにそういう想いを知らずとも十分に愉しめますし、感じることもたくさんあるでしょう 。ですが、目の前の美しさの奥にある何気ないけれど有難い心配りへと想いを馳せるのもまた、 豊かな時間だと思うのです 。
ちなみに、ここ詩仙堂の日本庭園にある「鹿威し」が、日本で初めて作られたものだといわれています。空気を震わせる鹿威しの音も、このお庭の魅力のひとつ。
そして、秋の紅葉が見事だということは、新緑の季節もまた素晴らしいということです。紅く色づいた葉を愛でつつ、緑が目に眩しい折の爽やかな風を恋しく思ったら、ぜひ来年の夏、もう一度足を運んでみてください。何度来ても、その都度、違った良さに気づかされるはずです。
詩仙堂 丈山寺
TEL 075ー781ー2954
京都市左京区一乗寺門口町27番地
開門時間:9:00~17:00(受付終了 16:45)
拝観料:大人500 円、高校生 400 円、小中学生 200 円
https://kyoto-shisendo.net/
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