皆さん、遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
令和初のミスター土方(ひじかた)です。

昨年は、皆様の優しさにたくさん助けていただきました。本当にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
この連載も早いもので5回目。今年は昨年以上に、新選組にご縁のある地を訪ねたいものです。


さて、前回は新選組を感じられる食べ物のお話でしたが、京都の新選組ゆかりの地のお話に戻ります。
今回の旅は昨年の秋、京都駅の周辺を歩き回ってみました。



後の新選組が上洛して最初の屯所になった壬生寺から北へ1分程歩き、通りに出て東へまっすぐ7分。堀川通を南へ12分程歩いていくと見えてくるのが、
浄土真宗本願寺派の本山である「龍谷山本願寺」です。京都の方々に親しみを込めて「お西さん」「西本願寺」と呼ばれ、世界文化遺産としても有名ですね。

1865年(慶応元年)、200人以上に増えた隊士達で手狭になった新選組は西本願寺に移り、境内の北集会所と太鼓楼を「新選組本陣として使用していた時期がありました。

こちらで、食料として家畜の飼育や、なんと境内では大砲などの軍事訓練までしていたといいます。熱心な信徒の皆さんが手を合わせている近くで飛び交う砲弾の轟音や猛々しい隊士の掛け声が聞こえたりするのですから、それはもう怖かったのではないでしょうか。
お寺さんでは、二重三重の意味で心配されていたかもしれません。結局3年足らずで退去して、新しい屯所に移ることになります。

西本願寺の北東角に建つのが、新選組が見張り台として使用していた「太鼓楼」。現在、西本願寺で新選組を感じられる唯一の史跡です。
内部については公開されていませんが、巨大な太鼓が2つ置かれていたそうです。重要文化財ということで、写真はご遠慮しておきます。

あれ?北集会所は?と思われた方、北集会所は兵庫県の姫路市亀山にある
浄土真宗本願寺派の「亀山本徳寺」に移築され、ご本堂になっています。
NHK大河ドラマ「新選組!」のロケ地にもなりました。本堂の廊下には刀傷の跡も残り、ドタドタと走り回る隊士たちの足音がいまも聞こえてくるような気がします。京都観光のついでに姫路・亀山まで足を延ばしてみるのもいいかもしれません。

西本願寺の太鼓楼から堀川通りを南へ8分程直進すると、ホテルのリーガロイヤル京都が見えてきます。
ホテルの敷地内に、新選組局長・近藤勇の歌碑と解説板があります

そして、リーガロイヤル京都から京都駅方面へ2分程。西洞院通塩小路南にある、京湯元ハヤト瑞鳳閣の敷地内にも「此付近 新選組最後之洛中屋敷跡」の標石が。

詳細不明で幻の屯所とも呼ばれる不動堂明王院を含め、この一帯に新選組の屯所があったという歴史がうかがえます。

ここでいったん、西本願寺の太鼓楼まで戻りましょう。太鼓楼を左に曲がり、西本願寺の壁沿いにずっと進んでいきます。

そのまま信号を渡り、花町屋通りを道なりにまっすぐ。
手招きするような「見返り柳」に誘われて進むと、大きな提灯が揺れる「嶋原大門」が迎えてくれます。

新選組の隊士も足繁く通ったという花街、嶋原。ですが皆さん知っていますか?地図で「嶋原」を探しても見つからないことを。
嶋原は現在、正式地名ではないんです。現在の住所は「下京区西新屋敷」。

ここは、ハッケン!ジャパンでのコラム連載も人気の「葵太夫」ゆかりの場所です。
私が説明するよりも、こったいさん(太夫のこと)ご本人のコラムを読まれた方が、嶋原についてもこったいさんについても理解が深まるかと思います。
ぜひ、こちらを読んでみてください。
葵太夫物語~花街の道も葵(1)日本最古の花街・京都嶋原

嶋原大門をくぐり、風情を感じさせる石畳の小道を進みます。
最初の曲がり角を右へ進むと、その佇まいで花街嶋原の歴史を伝えてくれる「輪違屋」(わちがいや)が見えてきます。

こちらは新選組隊士たちも通ったとされる有名な置屋兼お茶屋さんで、現在も嶋原太夫が数名在籍されています。
私が伺ったのは早朝でしたが、新選組が活躍した当時だと大門は閉じられていた時間帯になるかな?などと思いを馳せ、彼らの軌跡を感じます。

そしてもう一軒有名な揚屋の「角屋」(すみや)も。こちらはあえてご紹介は控えます。ご自身の足で、ゆかりの地を見つける楽しさを感じてみてくださいね。

さて、花町屋通りに戻ってみましょう。歴史の趣ある和菓子屋さん、写真だと少しわかりにくいのですが「太夫最中」の袖看板が目を引きます。
御菓子司 伊藤軒 老舗(いとうけん ろうほ)です。



軒をくぐると目の前に広がる和菓子の数々。こちらで「太夫最中」(たゆうもなか)と「太夫最中バターサンド」を購入しました。

太夫最中にあんこを詰めていただいている間、お店の中を見せてもらって「司太夫」と「葵太夫」のお名前入りの団扇を発見。

家紋は「丸に剣かたばみ」かな? 太夫御用達のお店ということで、ますます期待が高まります。
 

さて、ここからは自宅に戻って、実食です。

ちゃんと手を合わせて、いただきます!太夫最中の包みを開けると太夫のお姿が。気品に溢れ堂々とされています。
最中は手に持つとずっしり。まるで太夫のお着物を思わせる重たさです。

最中を綺麗に開けられるか心配だったので、悲しいけれど一刀両断。すき間なく詰められたあんこのお目見えです。

パリっとした最中の香ばしさの後に、大納言小豆の香りが口いっぱいに。甘さ控えめなので大納言小豆の味が引き立っています。熱い濃いめのほうじ茶といただくと、口の中が幸せになりそうです。

お次はバターサンド。こちらの最中にも、太夫がいらっしゃいます。
中にはたっぷりのバタークリームのお布団に横たわる大納言小豆。果たして最中はバター小豆と合うのだろうかと、ドキドキしながらいただきます。

これが美味しい!新発見です。お口の中が文明開化。バターの塩加減と噛んだ時の小豆のアクセントが絶妙で、あっという間に完食。
和菓子に苦手意識を持たれている方にも、ぜひ一度食べていただきたいです。洋菓子に近いので、珈琲や紅茶でも美味しくいただけそう。

初めて行くお店では、売り子さんが個人的におススメする商品を聞くことにしています。その方が美味しいものに巡り合えることが多いからです。
伊藤軒老舗では季節の和菓子もおススメということで、何度でも足を運んでみたいところ。
また、ネットショップもあるそうなので、京都に行くことが難しいときは、そちらで購入可能なのも嬉しいですね。

御馳走様でした!
 

今回、このコラムを書くに辺り、取材に御助力いただきました
西本願寺 様
伊藤軒 老舗 様
本当にありがとうございました。
 

本年一発目の縁合わせ旅のコラムはいかがでしたでしょうか?
新選組の屯所を線で結ぶように歩いていくと、どんどん伏見のほうに下りていくのがよくわかります。それは当時の新選組を取り巻く状況を自分の足で辿っているからだと、今回の旅で改めて感じることができました。

次回もまた良いご縁に出会えると信じて。それでは皆様、またお会いしましょうね!
 

<旅人・原稿(写真)/22代目ミスター土方>


東京・日野市で毎年5月行われる、新選組ファン大注目の『ひの新選組まつり』。2019年行われた第22回の隊士コンテストで令和初の土方歳三役『ミスター土方』に選ばれたのは、凛々しくも心やさしき1人の乙女。新選組ゆかりの地を巡る活動のなかで、ご縁を結んだ神社仏閣、おすすめのお店、お世話になった方々のことを語るコラムを連載中。


【おすすめ記事】

連載コラム「令和初ミスター土方の縁合わせ旅」 記事一覧