皆さん、こんにちは。
令和初のミスター土方(ひじかた)です。
連載も4回目です。毎回、人の優しさを感じ、ご縁に感謝しております。ありがとうございます。

2020年は思うままに外出もかなわず、季節をあまり感じられないまま師走まできましたね。ならばせめて食べ物で新選組を感じ、季節を楽しみましょう。
今回は、ご縁合わせの旅で訪ねた、美味しいもののご紹介です。

前回コラムで訪れた金戒光明寺さんから歩いて30分程
、三条大橋を渡った所に見えてくるのは「旅籠茶屋 池田屋はなの舞」新選組の名を天下に轟かせることとなった池田屋事変が起こった旅館「池田屋」の跡地に建てられた、新選組をコンセプトにした居酒屋です。

店内に足を踏み入れると、「御用改めである!」と近藤局長の声が響きます。新選組がお好きな方はテンションが上がること間違いなしです。

新選組隊士の名前がついたランチを注文。ランチの用意ができるまで、私ミスター土方も「御用改め」させていただきました。

数々の創作ドラマ等で有名な、大階段の階段落ち。しかし実際は乱闘するには幅が狭く、角度も急だったようです。
現在、階段はこのようになっています。

天井を見ると…

尊王攘夷志士が宙に!さっと右へ避けます。池田屋内部は戦闘中なのです。

2階のフロアへ向かいます。

帳場でも戦闘が!月代(さかやき)のある新選組隊士。もしかして、沖田さん?

敵は彼に任せて奥へ向かいます。

旅籠(はたご)のようにしっとりとした雰囲気のあるフロアが。先へ進もうと思いましたが、ここで時間切れ。

私が注文した松花堂弁当「土方歳三」が出てきました。
現在は隊士の名前が付かない状態で案内されますが、ランチの内容は以前と一緒なのだとか。

探検したおかげで、もうお腹は音を立てています。

“此処は「池田屋騒動」跡地也”と印字されたコースター

ぷりぷりで厚みのあるお刺身、脂ののった鯖の塩焼き。サクッと揚がった天ぷらに優しい味の高野豆腐と卵の煮物。
新選組ゆかりの地で美味しくご飯が食べられるのは魅力的ですよね。

ご馳走さまでした!
 

さて、新選組ゆかりの地で食べるのも素敵ですが、彼らが実際食べていたものが現在も京の地に残されているのをご存じでしょうか?

池田屋から西へ歩いて10分程、堺町通三条にあるお漬物のお店「総本家近清」

こちらでは江戸時代半ばから明治初期まで東本願寺と西本願寺のお膳場(ごぜんば)にお漬物を献上されていました。
西本願寺と言えば、新選組第二の屯所。激務をこなす大勢の新選組隊士の胃袋を支えたのが、近清さんのお漬物を使った「ぶぶ漬け」です。

私は新選組隊士と同じ食べ方を再現できるお漬物セットを購入しました。
食べ方は、後ほどご紹介しますね。


そしてもう1軒。

西本願寺から京都駅へ向かって歩くこと10分。新選組を離脱し御陵衛士(ごりょうえじ)となった参謀・伊藤甲子太郎八番隊組頭・藤堂平助らが殺害された、油小路の本光寺門前。そのすぐそばに店を構えるのが、天保6年(1835)創業の油の専門店「西川油店」です。

店内には江戸時代から昭和にかけて実際に使われていたとても貴重な道具の数々が。お店と共に時代の移り変わりを共に見てきた道具たちです。

油の博物館と言っても過言ではない西川油店では、今も数種類の油を販売されています。お寺でも使われている御灯油も。もしかしたら新選組もこちらの油を、見廻りや文を認める(したためる)時の灯りに使っていたのかもしれませんね。

この西川油店さんで私が必ず購入するのは、胡麻油。

市販のものより少しお高めですが、胡麻の香りが段違いに良いのです。
油の色も、見ればわかるように濃い茶褐色。ここの胡麻油を使ったら他のは使えません。
使いきれるか心配になる量ですが、1年以上保存も出来ますし風味の落ちが緩やかなので、リピ買いする価値ありです。


さて、ここからは自宅に戻り、新選組も食べたぶぶ漬けを再現します。

セットの中身は、本千沢庵1764、味しば、瓜奈良漬、ねぎ味噌です。

 

ご飯の上に細かく刻んだ3種のお漬物を乗せます。

このまま食べてもお野菜本来の味がしっかり残っているので美味しいのですが、「迅速な出動を要すべし」と局中法度(きょくちゅうはっと)にも書かれているように、隊士たちはいつ何時でも出動できるよう備えなければならないのです。
そこで口いっぱいにかっ込むために白湯をかけます。グルメな隊士たちはネギ味噌もちょい足ししていたとか。

まずはそれぞれの漬物とご飯で、次は白湯でさらさらと。次にねぎ味噌を溶かして混ぜ合わせ、複雑に絡み合う美味しさを堪能します。
お腹に優しいぶぶ漬けは、年末年始の暴飲暴食のお腹を休めるのにも最適です。

ぶぶ漬けだけで漬物を食べきれるか不安な方は、アレンジすれば長く美味しくいただけますよ。

例えば、おいなりさんの具にしても良し。
沢庵+おかか、しば漬け+大葉、奈良漬けで関西、関東の形で作ってみました。

沢庵は軽く塩抜きし、西川商店の胡麻油、醤油、味醂で味付けして焼き、柴漬けはオリーブオイルと和えて玉ねぎや大根のサラダに。
奈良漬けはクリームチーズと合わせて、クリスマスや普段の晩酌用にも。是非、試してみてくださいね。

こうして食でも新選組を感じる事ができ、心もおなかもいっぱいです。ご馳走様でした!


今回、このコラムを書くに辺り、御助力いただきました
旅籠茶屋 池田屋 はなの舞
総本家近清
西川油店
本当にありがとうございました。

そして皆様、大変お世話になりました。本当に貴重な経験とたくさんありがとうございました。
次回も良いご縁に出会えると信じて。

それでは、また来年、お会いしましょうね。
 

<旅人・原稿(写真)/22代目ミスター土方>


東京・日野市で毎年5月行われる、新選組ファン大注目の『ひの新選組まつり』。2019年行われた第22回の隊士コンテストで令和初の土方歳三役『ミスター土方』に選ばれたのは、凛々しくも心やさしき1人の乙女。新選組ゆかりの地を巡る活動のなかで、ご縁を結んだ神社仏閣、おすすめのお店、お世話になった方々のことを語るコラムを連載中。


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