お世話になった方へのお礼や差し入れに持っていく手土産、何にしたらいいか迷いますよね。
間違いないものを見つけました! 美味しくて可愛い、ザ・ニッポンなお菓子。
場所は銀座4丁目の交差点からほど近いすずらん通りに面した「銀座 松崎煎餅」。
創業215年の歴史ある老舗のお煎餅屋さんが今年、商品ラインナップとパッケージを全面リニューューアル。
そのなかでも目をひくのが「江戸あられ 鳴神」。一つひとつ色もデザインも違うボックスが並ぶミニサイズのあられは全12種類。
小分けになっていて使いやすく、パッケージを開けたときの楽しさも味わえます。

江戸あられ 鳴神

こうした商品パッケージ、さらに公式Webサイトのリニューアルに加えてコンセプトショップの展開など、話題にことかかない最近の「銀座 松崎煎餅」。
その仕掛け人が八代目当主・松崎宗平さん。キャップをかぶりヒゲをたくわえ、耳にはピアス……こちらも見た目なかなかのインパクト。
個性とこだわりを感じさせる老舗の若きリーダーに、ご自身が描いているビジョンについてお話を伺いました。

八代目当主・松崎宗平さん

松崎さんの前職はITベンチャーのデザイナー、音楽活動もしているという八代目。
いかにもクリエイティブに長けている印象の松崎さんにとって今回のリニューアルの意図はどこにあるのでしょう?
「老舗に持たれがちな堅苦しいイメージをできるだけ排除し、幅広い世代に親しみを感じてもらいたい。
例えば、“くるむ”をテーマに紙パッケージに水引風の紐をあしらったものにしたり、さらに缶入りの詰合せを紙箱に変え、プラスティックトレイも紙トレイに変更したり。
いずれもデザイン面だけではなくギフトとしての持ち運びやすさや環境への配慮を優先させた変更になっています」

Webサイトやパッケージリニューアルなど目に見えるものは分かりやすい変化。けれど、大切なのはもちろん味。

「食べたとき単純に『美味しい!』と思えることは基本中の基本。
でも、美味しいという感覚にもいろいろあって。うちのお煎餅の味は、いつ食べても飽きなくて、食べてないと恋しくて、久しぶりに食べたら懐かしくなる、家庭料理のような安心感のある美味しさが魅力だと思うんです。
その一方で、想像を超える美味しさもときには必要。それを意識したのが、たとえば新商品の『大江戸松崎 黒格子』。
蔵前にあるダンデライオン チョコレートさんのチョコレートとカカオニブを使用した瓦煎餅です。チョコのほんのりした甘さとカカオの香ばしさ、そして煎餅のパリっとした食感。これもまた食べてみてもらわないことにはわからない(笑)」

銀座 松崎煎餅 本店の地下1階にある瓦煎餅専門フロア

松崎煎餅の看板商品といえば「大江戸松崎 三味胴(しゃみどう)」。
親しみやすい瓦煎餅の美味しさにプラスして、描かれた絵柄によって見る楽しみや企業コラボなどのオリジナル感を演出でき、こちらも快進撃だそう。
「守るべきものと変えていくものを両輪で回しながら前へ進む、というのが現状です。決して欲を出しすぎず、ただひたすら一枚一枚心を込めて煎餅を焼き、それを多くの人の口に届ける。それが自分の使命と思っています。
『一枚一枚心を込めて、手を抜くな』とは祖母の言葉。“一枚一枚”はイコール“お客さま一人ひとり”。自分が向き合うべきことを忘れずに時代に合わせたイノベーションを図っていきたいですね」
「なるほど、これが今どき老舗の若社長!」と思わず口にしてしまいたくなる風貌の八代目ですが、お話を聞くうちになんだかイメージが変わってきて…。どこかで会ったような気も?
そうそう!パッケージ箱の裏にこっそり隠れている、背中を向けてお煎餅を焼いている“松崎おじさん”!
振り向いたら、おしゃれな眼鏡をかけてピアスをしているのかも。そんな楽しい想像が湧いてきました。
 「銀座 松崎煎餅」は銀座本店以外に百貨店やオンラインストアも充実。皆様、理屈よりもまず見て、食べて、味わってみてください。

銀座 松崎煎餅 本店
東京都中央区銀座5-6-9銀座F・Sビル
TEL. 03-6264-6703
https://matsuzaki-senbei.com/

 


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