ごきげんよう。
京都の酒場に出没するのんべぇライター椿屋です。

入口にディスプレイされた朝採れの京野菜たちににんまりしながら、ビニールカーテンを開けると襲ってくる心地好い熱気と食欲をそそる香ばしい匂い。
嗚呼、よ~く冷えたビアが呑みたい!

と、やってきたのは五十家コーポレーションが営む「五十家」(いそや)。
ここでは、母体である五十棲(いそずみ)農園や協力農家から毎日届く季節の京野菜を、それぞれに合った火入れ加減で焼いたり、蒸したり、炒めたりしたものに、塩や味噌や多彩なソースを加えて素材の味 を引き出した料理が愉しめます。カウンターのど真ん中に据えられた大きな鉄板が、舞台。そこでの合い言葉は、「旬の京野菜を焼かせてください」。

まずはカウンターの頭上にある黒板を見上げて、その日のラインナップを確かめます。手書きの野菜名には食べ方も記されているので、文字を見るだけで想像できる味が口の中にジュワっと広がります。

村岩農園から届いた九条ネギはとろろと京山椒をかけて、桂農園の小松菜には牡蠣と豆乳オリーブオイルと合わせて。八田農園のブロッコリーはガーリックチェダーで、川勝農園の京水菜はしらすとにんにくオイルを。

中川農園の生しいたけは天然塩で、瑞穂農林の丹波しめじは山椒バターで仕上げる。谷村農園のサラダケールは焼鮭と和えて濃厚シーザー仕立て。全部、食べたい!!

実家の農園で育った野菜の美味しさを伝えたいという想いから、オーナーの五十棲氏が1店舗目を構えてから16年。いまでは市内に6軒のお店を有し、近隣の協力農家も続々と増え続けています。何よりユニークなのは、似たようなチェーン店として増やすのではなく、それぞれの料理の特徴とコンセプトを明確に住み分けしていること。
自身の名を冠した「五十棲」は、串焼きとおでんのお店。その二階にある「おにかい」では煮野菜をメインに。「五十松」ではワインに合う野菜料理を、「isoism」では漬け野菜に特化したメニューを提供しています。さらに、五十家コーポレーションで経験を積んだスタッフが自らの新しい感覚で店づくりを行った、「酒場トやさい イソスタンド」もオープン。そしてついには、漬け野菜のオンラインショップまで!

それもこれも、収穫からの時短や収穫のタイミング、調理までの保管方法を徹底した鮮度管理と、自家農園および協力農家でつくられている定番から変わり種までの多彩な種類があってこそ。甘味たっぷりの九条ネギ、掘り立ての筍、瑞々しい茄子に刈り立ての新米……
それらは、五十家コーポレーションでしか味わえない季節感なのです。

野菜だけに留まらず、鉄板の上で素早く器用に巻かれていくだし巻きも、そのパフォーマンス見たさについつい頼んでしまう一品

そして〆には、五十棲農園で育てられているお米「ひのひかり」を使ったごはんものと迷いつつも……「豆乳だしのネギそばつけ麵」を

豊富な地下水と河川による良質の水、腐植質が豊富な豊かな土、盆地特有の気候――京都ならではの風土が育む京野菜は、生でも十分に滋味深い。それを、過不足ないアレンジで食べさせてくれるとあっては、お酒が進むのも仕方がないというものです。
京野菜に心惹かれたら、まずはここ五十家のビニールカーテンを開けてみてください。

今宵もよく食べて呑みました。それでは、千鳥足でごめんあそばせ~。

焼野菜 五十家 ISOYA
京都市中京区木屋町通御池下る下丸屋町421-5 ラディーチェ・マツヤビル1F
tel:075-212-5039
http://isoya.isozumi.jp/