※この記事は2020年3月に執筆・公開されたもので内容と商品価格は当時のものです(編集部)

ごきげんよう。ライターの、かがたにのりこです。

3月14日、東京では例年より早い開花宣言がありました。関西でも、もう間も無くといったところでしょうか。

いつもなら花見や行楽の計画にソワソワと心浮き立つ開花宣言ですが、新型コロナウイルスの流行で、花見の予定も曖昧な方が多いのでは。

そんな中、「花より団子」な私にできることは、素敵な団子をご紹介することだろうということで、今回は花見団子のお話です。

桜餅は関東と関西で大きく見た目が異なりますが、花見団子は大体が薄紅(ピンク)、白、みどりの三色です。そして、順番も上から薄紅、白、みどり。

この色の由来や順番については諸説あって、そのどれもが興味深いのですが、私が最も好きなのは、桜の花の移り変わりを表している説です。薄紅色のつぼみがほころび、白い花を咲かせ、やがて葉桜へと色が移り変わる姿をなぞらえたといわれています。

つまり、「花より団子」どころか「団子にして、花!」ということですよね。

他には、おめでたい紅白と邪気を払うみどり色が神様の喜ぶ色だとする説や、春の陽射しを表す薄紅、冬の雪を表す白、みどりの草木が芽吹く夏で季節を表している説なども。ちなみに、なぜ「秋」を含めた4個1串ではないのかというと、「秋がない」すなわち「(食べ)飽きない」「商い(が繁盛する)」とかけているからだそうです。

そんな三色の意味や由来を知った上で、いつも私が思うのは、「白の団子だけ、なんか損した気分にならないか?」ということです。

わかる。もちろん、わかっていますよ。清浄の白ですよね。白あっての薄紅とみどりですものね。

と、納得しようとは思いつつも、もし、一杯のかけそば(古い!)のように、三兄弟で一つの串を分けることになったら、十中八九、白はじゃんけんに負けた人が食べることになるのではないか、そもそも「だんご三兄弟」において、♫自分が一番次男、次男と歌われている真ん中がこれで満足できるのか、

そんな考えが頭の中をぐるぐると駆け巡り、愛らしい色に染められた1個目と、あまつさえ抹茶やヨモギで味までつけてもらっている3個目に挟まれた、ほんのり甘いだけの2個目を食べる時のテンションが一定であるとは言い難い日々を送ってきました。

そんな悶々とした私の春に終止符を打ってくれたのが、こちら。

芦屋と香櫨園に店を構える、「あおやま菓匠」さんの花見団子です。

よく見るとおわかりいただけると思いますが、白のお団子には白ゴマが練りこまれています。

「春を迎える花見団子の色や順番にはもちろん大切な意味が込められていますが、食べた時に、1個目と2個目が同じで味は面白くないな、と。まずはピンク色を愛でながらノーマルなお団子の美味しさを、続いて白ゴマの香ばしさ、最後にヨモギの爽やかさを楽しんでいただければ」

と、あおやま菓匠のご主人。

花の姿の移り変わりを鮮やかに味で表現してくれる花見団子があれば、今年くらいは家の中での花見も悪くはないなと思えたのでした。

来年は満開の桜の下で、大好きな人たちと一緒に食べられることを願いつつ。
 


花見団子1本150円(税込)

あおやま菓匠 instagram @aoyamakasho


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