東北6県の一つ、岩手県。47都道府県のうち北海道の次に広い面積を持ち、平泉町には世界文化遺産の中尊寺・毛越寺がある。宮沢賢治や石川啄木など多くの偉人、最近ではメジャーリーガーの大谷翔平を輩出。
そんな誇れる故郷を持つ私だが、上京した当初は「岩手ってどこ? 九州?」など、失礼な発言を投げかけられたことも。
今でもまだ知られていない岩手の魅力は多いはず。もっとたくさんの人に知ってほしい! そんな思いから、岩手のおすすめアイテムをピックアップしてみた。旅に出られない今の時期、自宅で“んめぇ&めんけぇ”旅を楽しんで。

(*んめぇ→うまい、めんけぇ→かわいい、という意味)
 

伝統工芸品をもっと身近に 「Iwayado craft」/奥州市

岩手の伝統工芸品「南部鉄器」をイメージさせる鉄瓶の他、ユニセックスで楽しめるデザインも魅力。右上から時計回りに「鉄瓶(丸)」「つばめ」「花」「めがね四角」 ブローチ 各1760円(税込)

「岩谷堂箪笥」は、古来よりケヤキ・漆・鉄の名産地として知られる奥州市の伝統工芸品。平泉文化を花開かせた藤原氏ともゆかりが深く、その起源は平安時代にまでさかのぼる。重厚な存在感と美しい飾り金具。内部には桐材が使用され、気密性と耐久性、機能性の高さも受け継がれてきた理由だ。
昔から嫁入り道具としても知られ、祖母から母へ、母から子へと代々受け継がれてきた高級家具。岩手ではどの家庭にも岩谷堂箪笥が1点はあるのではないだろうか。

パリで開催された手芸クラフト展示会では「珍しくてかわいい!」と好評だったそう。右上から時計回りに「笹」「麻の葉」「七宝」「一目麻の葉」「かご目」「枡刺し」 針山 各3410円(税込)

「Iwayado craft」は、岩谷堂箪笥を作る際に出る端材を利用。桐材に漆塗りを施した作品には「たくさんの人たちに岩谷堂箪笥の魅力を感じてほしい」という職人の思いが込められている。世代問わず身に着けられる風合いとさまざまなモチーフが楽しいブローチやヘアゴム、針山などを展開。
故郷を感じることのできるブローチは、私も愛用中。時代を超えて愛され続けてきた岩手の伝統を、ぜひ感じてほしい。

株式会社岩谷堂タンス製作所 http://www.its-iwayado.jp/
 

名物メニューを完全再現!「レトロな大食堂 マルカンビル大食堂ソフトクリームキャンディ」/花巻市

昭和感のあるドロップ缶もかわいらしい。「レトロな大食堂 マルカンビル大食堂ソフトクリームキャンディ」 350円(税込)

岩手県花巻市の「マルカン百貨店」は、地元民に愛された百貨店。2016年に43年間の営業に幕を閉じたが、ファンの声援により名物展望レストランが2017年2月から「マルカンビル大食堂」として復活。
入口前のショーケースには、大食堂のシンボルともいえるメニューのレプリカがズラリ。名物のナポリカツやマルカンラーメンなど、常時100種のメニューから選べる。

看板メニューは、10段に巻かれた高さ23㎝もの巨大ソフトクリーム。箸で食べるというスタイルもユニークで、訪れるほとんどの客が注文するというほど人気だ。この大きさで180円というコストパフォーマンスの良さも驚き。
「このソフトクリームを遠くの方にも味わっていただきたい」というスタッフの思いから生まれたのが、「レトロな大食堂 マルカンビル大食堂ソフトクリームキャンディ」。原料はソフトクリームと全く同じ。「決して溶けないソフトクリーム」なので、オンラインでも買うことができる。
 

花巻東西番付 https://hanamakibanzuke.com/

昔ながらの道具を今に生かす 「OTEFUKI(en-nichi)& Oshu Sabon Natural」「SAPPAKAMA」/一関市

「en・nichi」のブランドマークをモチーフにした手ぬぐいと、フェイシャルソープのセット。OTEFUKI(en-nichi)&Oshu Sabon Natural(奥州サボン ナチュラル) 3630円(税込)

「en・nichi」は一関市で100年以上続く、老舗染物屋「京屋染物店」の新ブランド。「常に新しい伝統を作り上げる」をコンセプトに、伝統を今の時代にマッチしたかたちで商品を提案している。
染物屋ならではのこだわりとは、本染め・手捺染(てなっせん)・引き染め・藍染めなど多彩な染色方法で、熟練の職人が一つひとつ丁寧に染め上げ、仕立て上げる。

「OTEFUKI」と命名された手ぬぐいは、拭く・被る・巻く・包む・覆う・飾る・贈る”など、さまざまな場面で使われてきた暮らしの道具。「その手に福が来ますように」という願いを込めて「御手福来」(おてふき)とも呼ばれ、お守りとして身に着ける時代もあったそう。
速乾性と使うほどに柔らかさを増す風合いの「OTEFUKI」は、赤ちゃんの肌にも優しい素材でできている。選ぶのが楽しい豊富なデザインも魅力。
日本伝統の文様の新しいテキスタイル商品には、「承前啓後」の精神が息づいている。

2019年度「グッドデザイン賞」を受賞。サイズはKIDS、S~L展開なので家族や親子でも楽しめる。SAPPAKAMA 1万1000円(税別) ※KIDSサイズ:8000円(税別)

そして、個人的に感動したのが「SAPPAKAMA」。昔、祖母が農作業ではいていたズボンを想起させるのは「東北の野良着から生まれたズボン」だから。
なかなか理想のシルエットのパンツに出合えなかった私だが、はいた瞬間「そう、これ!」と思わず声を上げてしまった。
リラックスした腰回りとキュッと締まった膝下、デニムでは味わえない藍の色味がいい感じなのだ。

en・nichiでは「一生、使ってほしい」という職人の思いから、「永久修繕」サービスを無料で提供。ほつれたり破れたりしても、何度でもお直ししてくれるというのもうれしい。

en・nichi https://www.ennichi-shop.com/
 

洋のインテリアにもなじむ  縁結び祈願 藁細工「忍び駒」1号(小田島民芸所)/花巻市

一つひとつ手作りされる忍び駒は愛らしくも力強さを感じる。昭和41年の年賀切手の図案として採用された。小田島民芸所 縁結び祈願 藁細工「忍び駒」1号 920円(税込)

高台に位置し、展望地としても人気の高い花巻八景の一つ「円万寺」。平安の武人・坂上田村麻呂が馬頭観音を勧請したのが起源とされ、「忍び駒」はこの寺に伝わる縁起物だ。
昔は縁結びや子孫繁栄、五穀豊穣などを祈願する稲わらの馬人形を寺に供え、願いがかなったら夜に人目を忍んで供えた馬を持ち帰り、色布や鈴を飾りお礼参りをしたのだそう。
現在では、縁結びに由来する民芸品として愛されている。

願いを込めて飾るのも、インテリアとして愛でるのもアリ。願いがかなった後に奉納するのは、円万寺でなくとも馬頭観音を祭っているお寺なら問題ない。
1号は高さ14㎝ほど。小さいものから大きいものまであるので、好みやインテリアの雰囲気に合わせて選ぶのも良いだろう。

稲わらの温かな雰囲気と控えめな存在感は、まるで岩手県民の人柄を表しているようだ。三色の布をお気に入りの布で着せ替え、オリジナル忍び駒として楽しむのもいい。

花巻東西番付 https://hanamakibanzuke.com/
 

三陸の魅力を発信  クラフトビール「週末のうみねこ」「恋するセゾン」/大船渡市

ほんのりと椿茶を感じるフルーティですっきりとした味わいが魚介料理にぴったりのビール。「碁石海岸のうみねこ」のイラストにも癒される。週末のうみねこ 6本セット 4200円(税込)

全国各地の醸造所を巡り、独学で醸造技術を学んだ「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」代表。妻の地元である大船渡市の豊かな自然に魅了され、ビールを通じて三陸の魅力を発信したいという思いから誕生したのが「三陸ビール」だ。

まず目を引くのが洗練されたパッケージデザインだが、その素材に注目してほしい。三陸沿岸の豊かな自然の中で育った農産物や海産物を副原料とし現在、販売されているのが2種のボトルビール。陸前高田市の気仙椿の茶葉を茶葉を使用した「週末のうみねこ」、陸前高田市の<北限のゆず>と三陸産の山椒を使用した「恋するセゾン」だ。2020年4月にオンラインストアをオープン、今後も順次、新商品がリリースされるそう。

陸前高田市の<北限のゆず>を使用したセゾンスタイルの爽やかなビール。恋するセゾン 6本セット 4200円(税込)

また、三陸の素材以外にもコリアンダーシードやオレンジピールなど「どんな味なのだろう?」と気になる原料も使用されている。いろいろなビールを飲んできた愛好家はもちろん、普段ビールを飲まないという人もぜひ、試してほしい。

三陸ビール https://www.sanrikubeer.com/
 

岩手の食文化を贈り物にちょこっと添えて。peccotag(ぺっこたぐ)/盛岡市

盛岡三大麺(盛岡冷麺・じゃじゃ麺・わんこそば)、南部煎餅、べんじぇもの[餅菓子]の3シートと紙紐9本のセット peccotag 327円 

岩手の食文化をイラストで表現したミニタグキット。「ぺっこ」とは、岩手の表現で「少し」という意味。贈り物やお土産を渡す時に「ほんの少しですが」と添える気持ちが、「peccotag」(ぺっこたぐ)のコンセプトだ。
ひもを通してしおりにしたり、グラスマーカーや結婚式のゲスト卓に沿えるメッセージカードとして使ったり。自由な用途で楽しめる。ちなみに私は、バッグに着けてさりげなく岩手をアピール。

イラストに採用された食べ物はどれも岩手県民・岩手出身者ならなじみ深いものだが、べんじぇものの「お茶餅」や「きりせんしょ」は、他県では知らない人も多いと思うので、紹介しておこう。
お茶餅は、平たいだんごに胡桃しょうゆを絡めたもの。きりせんしょは胡桃と黒砂糖の入った餅だが、中には黒蜜が入っているものもあり、これがかなり絶品! 
ミニタグを見ながら、いつか岩手を訪れたら味わいたい郷土料理・郷土菓子に思いを馳せてみてほしい。

彼是堂 http://arecore-do.jp/


取材・文/濱岡操緒(ハッケン!ジャパン編集部)


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