和装スナップ@yonezawawedding  白無垢に綿帽子

神社にお参りに行くと婚礼シーズンの秋や桜の季節、場所によっては一年を通して、結婚式や花嫁さんの姿を見かけることがあるはず。また、家族や友達の結婚式に招かれたり映画やドラマで見て「和の花嫁姿も新鮮ですてき!と思ったことがある人も多いのでは?
結婚式が決まっている人はもちろん、まだ予定がない人も、既に結婚式をしたという人も、日本の伝統的な花嫁衣裳とはどのようなものかは知っておきたいもの。

白無垢とウエディングドレスの白は同じ意味?

和装の結婚式で見かける、全身白の花嫁の着物のことを「白無垢」(しろむく)という。白一色でも、よく見てみると柄が入っていて、「吉祥文様」(きっしょうもんよう)という伝統的におめでたいとされる柄が描かれている。

白無垢は、特に神社やお寺での結婚式など、挙式の衣裳として選ばれることが多い。清らかさを大事にする日本の神様の前で誓う結婚式にはふさわしいと考えられ、古くから選ばれてきた歴史がある。
いまでも結婚式のときにしか着ることができないという特別感から人気があり、和の結婚式で着られている。

和装スナップ@yk_wd0324 白無垢に綿帽子(わたぼうし) 

和装スナップ@yuka.wd20170225 白無垢に角隠し(つのかくし)

白無垢の白の色には、キリスト教のウエディングドレスと同様に、花嫁の「純潔」や「あなたの色に染まります」といった意味もあるといわれる。
なんだか古風な気がするかもしれないが、ここは「相手や新しい家になじんで幸せになれますように」という親の願いも込められている、と考えてみてはどうだろうか。

また、結婚が人生の大きな節目になることから、「白」という色は過去と現在・未来へのリセットカラーと考えることもできる。
ちょうど夜(黒)から朝(白)になるように、結婚後の人生が明るく光り輝くものであってほしい、その願いは時代や洋の東西を問わない。世界的に、花嫁の衣裳は白という国は多い。

白無垢と色打掛、着物としてのかたちは同じ

「白無垢」に対して、色が付いた「色打掛」(いろうちかけ)という衣裳もある。じつはどちらも同じ「打掛」という種類の着物。歴史的には室町時代から、下にきものを着て帯を締めた上に羽織のように武家の女性が「打ち掛けて着た」ことから、そう呼ばれるようになったという。ドラマなどで見る戦国時代や江戸時代のお姫様が着ている豪華な着物は打掛であることが多い。

打掛の場合、中に着るきもの(「掛下」と呼ぶ)は兼用できるため、白無垢から色打掛に変えるのは時間が比較的かからず、そのため「お色直し」の衣裳として着ることが多い。
ウエディングドレスの後にも、また和の挙式の衣裳として白無垢ではなく色打掛を選ぶこともできる。ただし、先に色を着てしまうと白無垢には戻れない、という順序のルールがあるので、注意が必要。

色打掛には、伝統的にお祝いの色とされる赤をはじめとして、さまざまな色の着物がある。
共通する特徴として、織りや染め、刺繍、金銀の箔など、さまざまな技法で、鶴亀、鳳凰、松竹梅、富士山、御所車(ごしょぐるま)などの吉祥文様が盛りだくさんに描かれている。それらは結婚式に豪華さを演出するだけでなく、それを着る花嫁が幸せになれますように、との願いが込められたものだ。

花嫁衣裳の柄には「鶴と亀=長寿」「二羽の鶴=仲の良い夫婦」「富士山=日本一の繁栄、めでたさ」など、それぞれに意味がある。衣裳を選ぶときには、せっかくだから柄の意味も知っておこう。長く受け継がれてきた日本の歴史と文化に触れる経験は、結婚式をいっそう思い出深いものにもできるはずだ。

神社でウエディングドレスを着ていいもの?

神社やお寺ではなく、ホテルや専門の式場であったとしても、和の挙式は、日本の神様や仏様の前で誓うことになる。

神社によっては「神様に失礼がないように」との考えから、たとえば「白無垢で花嫁かつら着用」など、衣裳決まりごとがある場合も
逆に、「神様に敬意が感じられるものであればウエディングドレスでも別にかまわない」という考え方の神社もある。お寺の結婚式についても同様だ。

衣裳はどうしてもこれ、というこだわりのある花嫁は、衣裳についての決まりがどうなっているか、挙式を申し込む前に確認しておく方がいいだろう。