大人の浴衣にふさわしいワンランク上の着こなしとは

Web上では多種多様な“着物ルール”があふれているけれど、浴衣について多くの人が知りたいのは、大体こんなことでは?

「浴衣を着たいけど、間違った着方になってないか不安!」
「大人の女性が着るうえで知っておくべき知識を知りたい」
「せっかくの浴衣。できるだけキレイに着こなしたい!」

そんな迷える浴衣迷子の私たちに向けてアドバイスをいただくべく、キャリア30年を超える「きものスタイリスト」第一人者、石田節子先生に取材。
 

質問1)大人の女性が押さえておきたい、浴衣選びのポイントは?

【正統派スタイルを目指すなら】
まずは日本の伝統を踏まえた生地と染めの浴衣を選ぶようにしましょう。
洋服素材の生地ではなく、浴衣用に織られている木綿素材「コーマ地」、軽く涼やかな「綿絽(めんろ)」、独特のハリ感のある「綿紬(めんつむぎ)」など、良い生地を選ぶと、必然的に染めも昔ながらの技法になります。

インクジェット印刷が主流の洋服生地の浴衣も悪い訳ではないですが、洋服でいえばそれはTシャツ感覚。上質なワンピースを選ぶように、ワンランク上のものを選んでみてはいかがでしょうか。

ちなみに、昔の江戸は“藍色”しかなかったので、昼は透けないように紺を、夜は闇に浮かび上がる白を着ていました。
シンプルにそこに戻ってみると、思いの外、浴衣美人に見えるかもしれませんよ。

正統派の帯選び、半幅帯なら、江戸時代からある「博多献上帯」を選ぶと良いでしょう。
正絹(しょうけん:混じり物のない絹地の織物のこと)を使っているから、素材感という意味でもワンランク上になりますし、シャッキリ結べるのも特徴です。

【個性派モダンスタイルでいくなら】
何でも自由にアレンジして良いと思いますが、“大人が着こなす”ことに着目するなら、浴衣と帯の色使いをワントーンに統一したり、帯結びもシンプルにしたりすると、ゴチャゴチャと余計なものを入れずに“粋”に着こなすことをおすすめします。

帯結び=片花結び


素材を替えるなら麻などの天然素材を、また染めは絞りなどの技法を選ぶと、ワンランク上の個性的な装いに仕上がります

質問2)浴衣に帯締めや帯留め、足袋は変? 大人の小物使いの心得とは

【正統派スタイルを目指すなら】
本来、明確なルールなどはないのですが、浴衣に合わせる半幅帯は“簡易帯”なので、シャシャシャッと簡単に結んでパッと出かけるようなイメージ。
帯締めや帯留めがなくても結べるので、必要ありません。

“大人の女性ならでは”のオシャレ度UPと考えるなら、「矢の字」のように帯締めを必要とする帯結びもあるので、日本製で手組みのものなどの上質な帯締めをプラスするのが粋で格好良いのではないでしょうか。 あとは、根付けで遊ぶのも素敵です。

足袋は履いても履かなくてもOK。履くなら白を選んでください。素足の場合は下駄ですが、足袋を履くなら下駄の代わりに草履を選んでも大丈夫。

【個性派モダンスタイルを着こなすなら】
ルールはありません!
それこそバリ風の帯留めやブローチなどを合わせても面白いです。“大人感”を重視するのであれば、帯締めにちょっと上質な帯留めをプラスしてはいかがでしょう。
職人の手作りで、七宝焼きや江戸切子、彫金や陶器、グラスビーズなどの帯留めを選ぶと、飽きもこないですし、長く持つのでおすすめです。

上質といっても1万円くらいですし、帯留めは髪留めやスカーフを留める時など、普段から使えますよ。

質問3)浴衣の着付けで補正は必須? 気になる体型カバーのテクニックはありますか?

【補正について】
基本的にウエストにタオルを巻くなどの補正は、季節柄、暑いですし不要だと思いますが、胸が豊かな方は、どうしても帯の上に胸が乗ってしまい、はだけやすくもなるので、和装用の下着を着用すると良いでしょう。

【体型カバーのテクニック】
基本的に浴衣には補正がいらないと思う理由は、体型カバーのテクニックが豊富にあるからなんです。
帯を緩めに巻けば、胸との段差が出にくいですし、帯の重なる部分を下にずらしながら巻けば、ウエストやヒップ周りのカバーにも。
褄先を裾線よりあげて、裾すぼまりの形にするのもスマートに見せるテクニックですし、
帯結びでも「割角出し」という結び方なら、たれ先がヒップ周りをカバーできて、幅の調整も効くので、肩幅が気になる人にもおすすめです。

帯結び=割角出し

着る人に合わせていかようにも調整ができるので、一度プロに教わりに行くのが良いと思いますよ。


質問4)襟の抜き具合や着丈など、大人の女性らしく着付けるポイントは?

着丈は、くるぶしが隠れるくらいが良いでしょう。

襟の抜き具合の目安は首から襟の間が“拳一個分”というのが一般的ですが、抜かなくてはいけないものでもなく、体型にもよりますし、好みで調整すれば良いと思います。
実際、私は衣紋は抜かずにさっぱり着るのが好きですし、艶っぽく着たい人は抜いて着たら良いと思いますよ。
ただし、衣紋は抜きすぎるとはだけやすくなるので注意が必要です。

また、着崩れてきたときに、さっと直せる技を身につけておくことが大切。大人の女性として、はだけるのだけは避けてください。
着付けをお願いした人は、ぜひ、そのときに“崩れたらどう直せば良いのか”を教わっておくと良いと思います。


石田先生への取材中、「おはしょりは、必要なければしなくても良い」「帯は腰まで下げてぶっ違いに巻けば長身の人にはバランスが良いし粋」など、今までうかがったことがない、目から鱗がボロボロ落ちるような技をたくさん伺うことができた。

自己流の着付けも良いけれど、一度プロに教わりに行くと、改めて自信がつくかもしれない。



取材協力/きものスタイリスト 石田節子

1955(昭和30)年東京生れ。東京・白金台の「時代布池田」に入社し、故・池田重子氏のもとで指導を10年間受ける。その後、着物スタイリストとして独立し、映画や雑誌、CMなど幅広いジャンルで活躍。1996年に紬を中 心にした呉服店を始め、石田節子流着付け教室を開催。NHK「おしゃれ工房」ほかTV・雑誌等に多数出演して着物の気軽な楽しみ方を伝え、多くの人の共感を呼ぶ。2019年3月、着付け教室・レンタル・着付け・スタイリング相談などを行う「石田節子のきもののお仕事」を日本橋富沢町にオープン。
https://setsukoishida.jp/

 


取材・文/やまだ ともこ(ハッケン!ジャパン編集部)

 


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