人気のセレクトショップ、アッシュ・ペー・フランスが主催する大型イベント「rooms」。クリエイターの世界観を「room=部屋」と捉え、想いやメッセージまでも伝えるイベントの20周年40回目が、2020年2月20日(木)~22日(土)に代々木第一体育館で開催された。

ハッケン!ジャパン編集部は、出展された全roomを回り、ハッケン!ジャパンの媒体コンセプトでもあるUNKOWN JAPAN=知らなかった日本をテーマに「かわいい・オシャレ・面白い」と感じられるクリエイターとアイテムを取材。
その中から今回は、着物文化を新しい発想でデザインしなおして世界に発信する「着物アップサイクル」の注目ブランドを3つ紹介する。
 

MUSKAAN/忘れかけていた日本の美意識を現代に

まず、タンスに眠る着物に新たな価値を生み出すことをコンセプトにした「MUSKAAN(ムスカーン)」から。
全て正絹(しょうけん)の着物を素材とし、現代のライフスタイルに落とし込んだデザインで一点物の洋服を生み出すファッションブランドだ。

左:バックスタイルが可愛い綸子(りんず)のキャミソールには、矢絣のボリューミーなスカートを合わせてロマンティックに

右:ペイント風のバラ柄が印象的な銘仙のボンバージャケットと、同じく銘仙のドット柄で仕立てたティアードドレスのコーデ

生分解性のある正絹を使うことで自然環境の循環、そして、熟練した縫製士とタッグを組むことによりクラフトマンシップを守っていくなど、現代のファッション業界が抱える問題にも一石を投じている。
さらに日本の伝統的なテキスタイルである着物地を大切に使うことで、日本人すらも忘れかけている美意識を見つめ直し、日本のみならず世界へと発信。眠っていた着物を希少で価値の高い衣服へとアップサイクルしている。

衣服だけでなく、クッションカバーも。元が着物だと聞かなければ気付かないレベルだが、生地の持つ可愛いさに改めて気付かされるアイテム

洋服はもちろん、クッションカバーなどのアイテムもそろい、全く異なるカタチで生まれ変わった商品は、柄の豊かさや素材感など、「着物」の魅力を全く別の角度から再確認させてくれるはずだ。

MUSKAAN https://www.muskaan.jp/
 

umejapon/着物の帯をバックパックにアレンジ

2019年5月、令和とともにスタートした、まだ誕生したばかりのブランド「umejapon(ウメジャポン)」。
そのファーストコレクションは、背負うだけで帯を締めているかのように見える「OBIバックパック」シリーズというユニークなもの。

舞妓さんのだらり帯をイメージしたシンプルなデザインの「OBI1(オビワン)」、文庫結びの立体的なキュートさにこだわった「OBI2(オビツー)」などがそろう「OBIバックパック」シリーズ

女性はもちろん、男性が背負ったってカワイイ。
帯デザイン最大の特徴である、下部の垂れ先はポケットになっていて、背負ったまま片手で携帯電話などの出し入れが可能!

「日本の伝統やカルチャーを面白楽しく製品化!」をコンセプトにしている通り、OBIバックパックに、着物のROBE(ローブ)シリーズをあわせて、インスタントに和装風コーデをかなえるほか、日本の伝統を感じる縄を使ったNAWAシリーズ、漁業や農業を応援するAMIシリーズなど、続々と新しいアイテムを投下している。その全てを自社アトリエで一つ一つ丁寧に製作。

外国の人ばかりでなく日本の若者も気軽に楽しめるデザインで、日本の「ポップな和」を発信している。

umejapon https://umejapon.jp/
 

thread jewelry Ricca/カラフルな幾何学模様の美しさに心を奪われる

色あざやかな金沢の伝統工芸品と知られる「加賀ゆびぬき」は、土台に絹糸を隙間なく縫い付けてつくる。
その美しい幾何学模様を生かしてカラフルなアクセサリーにしたのが、「thread jewelry Ricca(スレッドジュエリーリッカ)」というブランドだ。

まるで花の咲いたようにカラフルで、どこか優しい色使いは、付けるだけで心をワントーン明るくしてくれそう。たくさん集まるとあまりの可愛さに、思わずうっとり

加賀ゆびぬきには、金沢の城下町で美しい着物を仕立てていたお針子さんたちが、当時は貴重だった絹糸のあまりをあり合わせて自分の道具としてつくっていたという、エコなエピソードがある。
繊細に絹糸を一本一本重ねて描かれる幾何学模様は、洋装に合わせた普段使いにも違和感なくマッチし、凛とした「和のたたずまい」も感じられる。

アクセサリーとしてはもとより、裁縫のための実用品としてオーダーされることもあるそう。モチーフにした桜の花びらのグラデーションと青みがかったグリーンとのコントラストがすてき
 

リングだけでなく、ネックレスやピアス、イヤリングなどの展開も。カラーリングもオーダーで好みに応じてくれるのがうれしい

加賀指ぬきは美しいだけではなく、つけ心地が軽く、針をしっかりとホールドして滑らない。実用品としても優秀な特徴もあわせ持つというのが面白い。

長く使い込むと、新品の絹糸の光沢は、綿の糸のような優しい風合いに「育って」いくのだそう。
目移りしてしまいそうなほど多彩な色と柄のバリエーションの中から、自分だけの運命の一点を見つけたくなるジュエリーだ。

thread jewelry Ricca https://www.instagram.com/threadjewelry_ricca/

 

今回紹介する3ブランドともに、若い女性デザイナーが日本の「着物」を独自の目線で切り取ってアップサイクル。唯一無二の存在感を放っている。
今は若手と呼ばれても、いつか気づいたら全世界から注目を集めるブランドに成長するのかもしれない。
お気に入りのデザインを見つけたら、長く応援して一緒にブランドの成長を見守っていく、そんな楽しみ方もできそうだ。

取材協力/rooms
https://www.roomsroom.com/